第2話 見る目

「さぁさぁ、皆さんどんどん指輪交換してますね~。いいですよ~。そして、見る目がない残念ですね~」


 ピエロが言うように倒れている人がさらに増えた。ざっと20人ほど居るのではないかというくらい床に転がっていた。立っている人もまた30人程いるが、床に転がっている人の現状を見て焦りが見える人も数人いる。


 ピエロは楽しそうに壇上からウキウキとした様子で状況を見て、会場スタッフは、倒れている人たちを会場の一角にせっせと運び怪我や事故にならない様に動いている。


 常に話し声や爆発音、歓喜の声が響く会場を唯一手放しで喜ぶピエロ。混沌とした会場で亜依はピエロを眺めている男性に声を掛けた。


「こんにちは。すごい状況ですね」

「そうですね...。見る目を養うと言うのがまさかこんなイベントだったなんて驚いています」

「まさか爆弾なんて言われるのは本当に予想外でした」

「僕、木村 玲央れおって言います」

「あ、私は立花亜依です。」


 話は弾み二人は意気投合した。亜依も自身の理想の相手と思い指輪を貰い自身の指輪を渡した。


「じゃあ、同時に指輪をはめませんか?」


 木村の提案に亜依もうなずき一斉に指輪をした。すると、木村は何も起こらずピロリんという電子音がした。おそらく解除成功の音であろう。一方の亜依は爆発音と共に電気が流れた。倒れそうにながら木村の顔を見た。


 亜依は意識を失い倒れる所を木村は支えた。その顔には、不敵に笑みを浮かべていた。


 スタッフが一人近づいて来て

「その女性こちらで介抱いたしましょうか?」

「いいえ、このまま連れ帰ります。僕の理想の相手ですから」

「あ。わかりました。では、時計と指輪外させていただきます」


 お願いしますと男は、いったん亜依を床におろし自身の腕についている時計と指輪をスタッフに外してもらい、亜依のものも同時に外してもらった


「外し終わりましたので、これで終了になります。」

「このまま会場を出て行って大丈夫ですか?」

「はい。一時的に意識が飛んでいますが、1時間程度しましたら自然と目御覚ましますのでご安心ください」

「わかりました」


 スタッフから説明を受けた後、再び亜依をお姫様抱っこし会場から出て行った。木村と亜依の指輪の交換が最後だったようで他の人は全員床に倒れていた


「さぁさぁ。みなさん理想の相手は見つかりましたか?まぁ、ここにいるのは見る目がなく倒れている人だけですけどね~。


さて、本日の結果は、双方理想の相手に出会ったのは2組...片方だけ理想の相手が5組うち一組がお持ち帰りですか...う~ん...見る目がないですね~。つまらない...


もっとたくさんの幸せを見たかった。まぁ、おもしろいものが見れたからよしとするかな?」


 木村が出たドアをピエロは愉快そうに見ながらもけれど悲しそうにも見える表情でイベントを締めくくった。その床には多くの気絶した人が未だ倒れたまま


「それでは、次回の婚活イベントでお会いしましょう」

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芸術が爆発なら恋愛は... 乾禄佳 @inuirokuka

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