夢の中
白川津 中々
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何を書きたいのか、何が目的なのか、何を目指しているのか、ふと……ふと、思うのだった。
感銘を受けたのは太宰だった。小学生の頃、担任に借りて読んだ人間失格が、私の、物書き(と、自称するのは恥ずかしく憚られるが他に適切な表現をしらない)としての起点だ。
何がよかったのか言語化するのは難しいが、心に残った。読中、なんどもやるせない、いたたまれない想いを抱きながらも、ページをめくり、文字を目で追った。
当時小学生だった私は見栄のために読んでいて半分くらいはよく分かっていなかったのだが、それでも最後の句点を捉えると、余韻に耽るくらいの感性は持っていた。どうしようもない人間の生涯を読んでいるだけなのに、惹かれるものがあった。
太宰は何を得るために人間失格を書いたのだろうか。金のため、酒のため、女のため、ヒロポンため、自分のため、他の何かのため。頭の悪い私にはまるで分からないが、きっと、何かのために、彼は書いたのだろう。
私は今、何のために書いているのか、何を書きたいのか、ぼやけている、分からなくなっている。それは年齢や、取り巻く環境がぼやかしているのか、私自身の気紛れが終わったのか、定かではない。
けれど、何かを書きたいという気持ちは、依然強く、熱い。
私の文は未だ迷いながら、不明な到達点に向かっている。
夢の中 白川津 中々 @taka1212384
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