第9話

「ちょっとそこまで」


君が最後に放った言葉だ。


あのとき

あの瞬間に少しでも

君を止めていれば

あと何回生き甲斐を重ねられただろうか


君は死んだ

理不尽に轢かれた音が鳴った

朝焼けにそぐわないブレーキ音が

毎日毎朝脳裏に蘇る


これが君の形見なんて皮肉で

僕は愚かで 所詮黙っているだけ

ただの偽善者だ


ずっと昔

君は僕のヒーローだった

いじめられていた僕を

何時も助けてくれた

君の優しさに浸っていた


どうしても言いたいことがあった

人生のお礼だ

でもそれを言おうとしたすぐ後に

伝えられなくなるなんて 思ってもみなかった

最低だな


今手にしているハナタバも

今じゃ真の意味に出来ないけど

君が笑う最中に伝えられなくて

ごめんね


ありがとう

「ずっといままで」


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君といたかった。 塩漬け幾等 @kaisen_doon

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