第7話
Part.3 ユミの誕生日パーティー
ユミの15才の誕生日パーティーは盛大に行われた。ハナとハルの結婚式より人が集まって、賑やかであった。この様な雰囲気であってもハナとハル、イルナムとタロは全くリラックスして楽しめなかった。4人の色んな感情と思惑が交錯する中、パーティーはどんどんクライマックスへ向かって行った。あっと言う間に時間が過ぎ、いよいよその時が来て
ユミがマイクを取った。4人は固唾を飲んだ。
みなさん、今日はこのように私の誕生日パーティーに来て下さって本当にありがとうございます。まずは、今日このように誕生日を迎えられたのは愛する家族のおかげです。感謝の気持ちを述べたいと思います。そして、いつも優しくしてくれる親友たちと道場のみなさんにも感謝しています、みなさん、本当にありがとう。ここからは今まで誰にも話したことのない私の将来の夢、目標について少しお話ししたいと思います、みなさん、もう少しだけ聞いてください。
会場が静かになり、4人の心臓の鼓動は高鳴った。
実は私は今からボーイフレンドのマイケルとヒップホップグループで活動していきます。
そして、明日、メイジャーデビューを目指してハリウッドへ向かいます。
壇上にマイケルが上がってユミとハグした。会場はわっと湧いた。ハナ、ハル、イルナム、タロはお互い顔を見て何も話せない表情を浮かべた。ユミが話しを続けた。
ママ、パパ、イルナム、タロ、本当にありがとう。私に武道のスピリットを教えてくれて。その精神は私がしっかり受け継いで、どんな苦難にも挑み続けていくわ、これからも応援よろしく。
1年後、ユミはYUMI & MICHEALとしてデビューを果たした。まだ、全米的な人気ではないが、地元ではその名をとどろかせていた。ハナとハルはユミの曲を自分達のフィットネスクラブに頻繁にかけたし、誇らしく思った。特にPeace For My FAMILY という曲は
イルナムとタロにとって、考えさせられる曲でもあった。
その内容はこうである。自分はアメリカで成功した武道家であるイルナムとタロを尊敬している。自分がその二人の孫である事が誇らしくてたまらない。しかし、この二人が憎しみ合い、お互いの悪口を言い合う時は心が引き裂かれる思いである。武道の根本である世界平和のためにお互い愛し合う道を選ぶべきであるし、それはまず家庭の平和から始めるベきである。
イルナムとタロはこの曲が発表されて間もなくして、積年の恨みを振り払い和解した。そして、ハナとハルが出会って、独立し、ユミが生まれたその全てに感謝することができた。イルナムとタロ、ハナとハルによって形成された三国はユミの詩により平和的に統一されたのである。
終わり
三国詩 @yonfunfan
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