神の祝福

あの頃、君がくれた笑顔も優しさも、思い出も、想いも私に向けられることは無くて、

君の全てはもう彼女だけのもので。

君と馬鹿みたいな話して喧嘩したことも。

ずっと電話してお互いの相談をありったけ話したことも。いつのまにか、電話して朝になったり、お互い寝てたりしたことも。

テストで勝負して、負けた君が私にくれたココアの味が少し甘すぎたことも。

君の匂いも。

全ては遠い過去の話だ。

誓いのくちづけをした2人が頬を染める。

どうか、この2人がいつまでも幸せでいられるように。

この想いはもう報われることは無い。

いつか消えるかもしれない、はたまた消えないかもしれない。

それでも私は、いつまでも、君の1番の友達だから。

「親友だよな。俺ら。」

2人が、教会から出て、みんなの横を歩くその瞬間…

青いバラが空を舞う。

脳裏に昔の思い出が弾ける。

「俺の結婚式は、綺麗な花が頭上でみたいな。」

私が君を好きだと気づいたかけがえのない青春の1ページ。

そして、君のささやかな願い、夢。

私は忘れなかったよ。

そんな想いに気づいてか、気づかずか、君と私の目線が交わる。

君があの頃のような笑顔で口を開く。

「ありがとう」

きっとこの声は、私にしか聞こえないのだろう。

大好きだったよ、君のことが。

そんな気持ちを隠して、私は空を仰ぐ。

最後の私の願いが君に届いてるといいな。

どうか、2人に、


「神の祝福が訪れますように。」

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神の祝福 香崎 莉愛 @aka1211

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