第7話

翌日の早朝にヒンソナ村に向けて出発した。


バックパックを背にキャリーカートを引っ張って歩き出す。

そこそこの荷物だけど、全部が必要なモノだから仕方ない。


3時間ほど歩いてちょっと休憩、水分補給も忘れずにした。


ヒンソナ村まで続く道は、大都市間を繋ぐ街道とは違い整備されていない。

街道なら10kmごとに休憩所と水場があるんだが、この道には野営地っぽい空き地あるだけで、水場は道の近くに小川があったり、泉が湧いていたりするだけだ。


「せめて、チャリでもあれば良いんだがなぁ…」


と言っても、こっちの世界の文明度じゃ自転車なんて発想は出て来ないだろう。

まあ、自転車があってもこんな未舗装道路じゃ、まともに走れるとは思えないけどね…。


「社内の販売部門で売ってないかな?」


社員割引で三輪の電動自転車とか買って使うもの良いかも……。

近いうちにカタログを請求してみよう。


そんな事を考えつつ小休止は終了、再びキャリーカートをゴロゴロと引っ張り歩き出した。


その日の行程は数回の休憩を挟み20kmほど歩いた。

夕方、暗くなる前に手頃な空き地を見つけたので、そこで一泊する事にする。

テントを張って、焚き火を用意して…、思ってた以上にやる事が多い。


「いろいろ面倒~。雨が降らなきゃテントとか必要なくね?」


初めての事が多くて良い経験にはなっているんだけどね。

もしかして、こういう事を経験させるのも今回の出張の目的なのかな?

まあ、あの社長神様の事だから、そこら辺も考えてたに違いないな。


そうこうしている内に夜も更けていき移動の一日目が終了した。




翌朝は日の出と共に起床した。

こっちの世界に来て早起きになったってわけじゃない。

不慣れなキャンプに緊張して眠れなかっただけだ。


「痛ぁ~身体がバッキバキだ…」


ん~っと、伸びをして身体を解す。

テントの中には一応、厚手の布を敷いたけど意味なかったようだ。

それから、顔を洗って軽く朝食を済ませて、キャンプの片付けをした。


「さて、ちょっと早いけど出発しますかね」


寝不足で少々キツいけど、出来るだけ先に進みたい。


「チャリより先にキャンプ用品のバージョンアップかな?」


などと考えつつ、ヒンソナ村を目指すのだった。




二日目の移動は、やはり寝不足が祟ったのか?それほど距離は稼げなかった。


その上、三日目は昼近くまで爆睡してしまい夕方遅くにヒンソナ村に到着した。

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異世界は指鉄砲でBANG!! くずやま猫夫 @kuzuneko

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