「隙間」におそわれた!
タンスと壁の間にお金が入ってしまったので、その隙間をのぞきこんだら隙間に吸い込まれてしまった。
出てきたらペラペラの紙みたいになってしまった。
よく漫画で、身体がドアと壁の間に挟まっておしつぶされてペラペラになる場面があるとおもうけど、まさか自分がそうなるとはおもっていなかった。
ぼくはペラペラのまま生きることになった。
というか、カーペットの下に挟まってしまい、動けない!
ぼくのママは今日は畑でキツツキとデートしている。ああなんてこった!今どきキツツキ人間になるんだってママはぼくが止めているのを無視して言うことを聞こうとしなかった!
なんてバカバカしいママなんだ。
さてと、うごうごとムカデの足がぼくの身体を這いずり回るような感覚がある。
これはなんなのだろう?
「…パイクさん、聞こえますか」
む?ぼくを呼ぶ声?
「パイクさん、聞こえますか?」
誰であろうか?
「あなたは?どこ?」
「わたしですか?カーペットです」
なんと、ぼくを呼んでいたのはカーペットであった。
「どうした?さびしいか?ぼくのママが今頃キツツキとダンスをしていることに?」
「いや、違うのです。あなたをお助けしたくて」
「なんと!」おお、ありがたい!救世主カーペット!!
「でもどうやって?」
「わたしがあなたを吸い上げます。その後、あなたを空中へと散布し、電気を駆使してあなたを再構築致します」
「はあ?」よくわからないがやってもらうしかなさそうだ。
わたしはカーペットに吸い込まれた―カーペットの繊維がわたしを粉々にしていく。
わたしはカーペットの上に出た―しかし、わたしはつぶつぶであった。
わたしは蒸発した。
わたしは空中に散布された―カーペットの熱によって。
わたしは徐々に構築されつつある―周囲にはタンスやソファ、机が見える。
わたしは8割完成された―手に感覚が戻りつつある―しかしまだバラバラだ―月と地球が昔にぶつかったときの破片のようだ。
わたしは完成された―カーペットの半分は炭になっていた―ああぼくのためにがんばってくれたんだな、カーペット。
わたしは救われた―ママはくちばしに寿司を加えて帰ってきた。
おそわれた!シリーズ パセリ @kakyuukyoku
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