第59話 新たな装備

 クランを結成してから数日、連絡があって日向の装備ができたらしいから一緒に来て欲しいらしい。

 私も日向の装備が気になったからついて行くことにした。


「ここがその鍛冶屋さんなの……?」


 どう考えてもボロ小屋。

 鍛冶屋さんって割に商品も置いてない。


「あははー私も同じ反応したよ。でも中は凄いんだよ?」

「なか?」


 日向に連れられて店内に入るとむすっとした顔の男の人が店番していた。

 明らかに機嫌悪そう。


「来たよー!」

「おう、日向の嬢ちゃん。で?」

「えっと、夜雀 白、です」

「ふ〜ん、コイツがねぇ」

「ちょっと。白ちゃんをジロジロ見ないでくださいよ」


 値踏みされているような視線からは敵意とか嫌悪感とかは感じない。ただ、私を測ってる感覚がする。


「人は見かけによらねぇってことか。今日は嬢ちゃんの武器ができたから来たんだろ?」

「はい、で?武器はどこに!?」

「あんだろ、目の前によ」

「目の前ってこの首輪のことじゃ無いですよね?もし冗談ならはっ倒しますよ」

「ガチだって。何処の武器だろうとコイツには金輪ねぇくらいの自信作だ。付けてみろ」


 アレが、武器?どう考えても鈴のついたネコ用の首輪にしか見えないよ!?


「えぇー?」


 日向が首輪をつけてみるけどどう見たってただの首輪だよね。


「着けたらその首輪に魔道具の要領で魔力込めてみろ」

「こう?うわっ!」


 腕と脚に透明な防具が出てきた!?


「何これ!」

「まぁ色々考えた末の首輪だったわけだが、この【赤狼の首輪】は魔力を込めると魔力で出来た武装を呼び出せる。呼び起こすだけで魔力自体は赤狼のものだから嬢ちゃんの要望にも合うだろう」

「確かに……で、この鈴は?」

「飾り。ネコっぽいだろ?」

「んなっ!?何かあるのかと期待して損した!」


 何も無いのか……私も何かあるんじゃ無いかと気になっていたんだけどな。


「でだ、日向の嬢ちゃんに頼んで白の嬢ちゃんを呼んだわけだが。残った素材でもう一つ装備を作らせてもらった」

「私に?」

「これだ。【狼石の指輪】魔力の持続回復効果が付いてる」

「これを私に?」

「これは赤狼の魔石を加工して作ったものだ。嬢ちゃん限定なのは魔石が嬢ちゃん以外受け付けないからだな」

「白ちゃんに私がやったみたいなのは必要ないの?」

「お前と違って完全に認められてるからな、お前と違って」

「二回も言わなくていいのに!白ちゃんも付けてみてよ!」


 すごく綺麗。あの狼の目みたいな赤い輝きが私をみてるような感じすら感じる。

 でも、不思議と敵意のようなものは感じなかった。


「その指輪は魔力回復に加えて夜限定だが持ち主の魔力を活性化する効果もある。おそらくだが、ネームド化したら真夜中にでもなってたんじゃねぇか?」

「確かにどんどん暗くなって行ってた……ありがとうございます!えっと」

「店主でいい」

「店主さん!」


 最初は怖かったけど凄くいい人だ。でも何でむすっとしてたんだろう。


「それでお代ってどのくらいですか?」

「金はいい。その代わりお使いを頼まれてくれ」

「お使い?」

「豹牙が昨日深夜に押しかけてきて直してくれって武器持ってきたんだよ、なのにアイツ、取りにこねぇ」


 あぁ〜だから機嫌悪そうだったんだ……よく見たら目の下に隈が出来てる。


「ごめんなさい、うちのバカ父が……」

「俺はもう眠いから寝る。俺の代わりにあいつにこれ届けてくれ、じゃあな」


 あ、奥に入って行っちゃった。


「ごめんね、ちょっと渡してくるよ」

「あ、私も行ってみたい!クランを作ったんだからどんなところなのかみてみたい」

「確かにねーまだ一パーティーしか居ないけど今後の参考にはなるかも」


 どんなところなんだろう。日本でもトップクラスのクラン、楽しみだなぁ。


あとがき

新しく新作を始めました

隔日連載になるかもしれませんが付き合ってくれると嬉しい!


ドラゴンスイーツ!〜拾った(奪った)スイーツを食べた甘党ドラゴンは目を覚ますと幼女の姿になっていた

https://kakuyomu.jp/works/16817330655101566229


夢魔と呼ばれたエルフの英雄作製〜魔術師育成は飽きたので剣士を育てます~

https://kakuyomu.jp/works/16817330653771681860


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