第58話 クラン結成

「「すみませんでした……」」

「全く、天道さんはともかく白ちゃんも一緒になってはっちゃけちゃダメでしょ?」

「本当にごめんなさい。止めどころ見失っちゃって」


 本当に恥ずかしい!人目のつかないところに移動したといっても少しは人が通る道であんなこと……!しかも聖さんにも見られるなんて。


「反省してるならいいけど……見てみなよ、ピュアな絶ちゃんなんかまだ顔真っ赤で白ちゃんたちの方見れてないんだからね?」

「べ、別にそんなことないよ!?あっ……ないで!な、なんか文句でも!?」

「絶歌可愛い」

「~~~~~!」


 絶歌の可愛い姿も見られたしそろそろ目的のことをしに行こうかな。全く、神奈さんのせいでもうお昼になっちゃったよ。


「遅くなっちゃったけど全員揃ったしクラン結成届を出しに行こう!」

「白ちゃんが暴走しなかったらもっと早く出来たんだけどな~」


 き、聞こえないな~。ちょっと楽しかったとかそんなことはないし。環奈さんじゃあないんだから!


「あ、白さん!今日はいつもより遅いんですね。何かあったんですか?」

「今日はクランを結成するために来ました!ここにいる五人で」


 いつもの受付の人にクランを結成することを伝えたらそれを聞いていたまわりの人たちが少しざわついてきた。


「おい、あれって鮮血姫だろ?ソロでいるつもりじゃなかったんか」

「まじか、神殿のシスターだろあれ!探索者になるんだったら誘うんだった!」


 うん、私たちっていうより聖さんたちがいることが話題になってるみたい。二人とも有名人だから仕方ないのかな?


「はい、では全員のカードを少しお借りしますね」


 なんだろう?何か変わるところとかあるのかな。今度こそこう、ファンタジーっぽいことがあったりは――――


「はい、これで皆さんのクラン登録は完了しました。すでにクラン名などが決まっている場合は追加しますけど……どうしますか?」


 クラン名……!そういえば考えてなかった!

 変な名前とかにしちゃうといけないよね。確か日向のお父さんのクランが【黒豹の牙】。紫藤さんのクランが【比翼の翼】だったよね。

 ん~私一人で悩む必要ないよね?


「みんなはどんな名前がいい?私は全然浮かばないのだけど……」

「白ちゃんのクランなんだし白ちゃんっぽさは入れたいよねー」

「いやいやいや、私っぽさとかいらないよ!?みんなのクランなんだから!」

「そういわれてもなぁ。白と日向が中心となって集めたクランメンバーやしクランマスターの特徴を入れるんはベターだと思うで?」


 こ、このままだといけない!


「聖さんはどう思います?紫藤さんのクランの立ち上げメンバーの意見を聞きたいです!」

「私は絶歌さんの意見に賛成ねぇ」

「えっ」

「クラン名はそのクランの象徴だもの。クランの中心メンバーの特徴からとるのは割と主流だと思うわ」

「私も同じね。このクランの中心は白ちゃんと日向だもの。二人からとるのがいいと思うわ」

「み、みんながそう言うならそうするよ……」


 それからしばらく話し合った結果、クラン名が決まった。


「じゃあ、クラン名は【白夜の夜明け】で」

「はい、わかりましたー!」


 私の名前から白を、日向のずっと明るく照らすという意味でもこの名前にした。ついでに密かに太陽を浴びたいなーって思いも載せて。


 これで私たちは自分のクランを手に入れた訳だけど……まだこれで終わりじゃない。聖さんの呪いを解くためにも私が日向ぼっこするためにも強くならなくちゃ!


「クランも結成したことだし全員でダンジョンに入ろう!」

「うん、聖さんと天道さんを加えて本格的に連携の仕方も覚えなくちゃね」

「うちは全員分の料理を作るの楽しみやな~嫌いなものあったら先に言ってな」

「先輩としていろいろ教えてあげるわ」

「ダンジョンに入ったら白ちゃんにもう少しだけいじめてもらおうかしら」


 一人だけおかしい気がしたけど気にしないでダンジョンに行こう。気にしたら負けだ。

 強くなって日向ぼっこするぞー!

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る