第52話 必要人数

「って言う感じになったから今度白ちゃんもついて来てくれる?」


「うん、わかった。勿論、絶歌も行くよね?」


「お? うちも行って良いんか?」


「勿論!」


 各々の用事を済ませた翌日、私たちは昼休みに屋上で絶歌のお昼ご飯を食べながら話している。


「絶歌がパーティーに入って3人。あと2人居ないとクランは作れないんだよね?」


「そうなるね。ただ、数合わせの人間が欲しいわけじゃ無いから慎重に行きたいかな。」


「そう言うことなら鮮血姫辺りはどうなんや?」


「絶ちゃんどうしてそこで鮮血姫が出てくるの?」


「掲示板で白が鮮血姫に気に入られたって騒がれてたからな。多分、今日にでもダンジョンに行けば会えるんちゃうかな。」


「あはは……」


 そうなんだよね……あの人の眼の血走りかたは赤狼並みだったから逃して来れなさそう。別に何かされたわけじゃ無いけどあの興奮した感じで攻められると怖いかなぁ。


「うーん。鮮血姫はソロだしクランにも所属してないはずだから加入してくれたらすごい戦力にはなりそうなんだよねぇ。」


 日向がとんでもないこと言ってる!?


「ひ、日向? もう少し考えてからにしよ? そこまで急いで無いんだし!」


「まぁ、それもそうだね。とはいえ、白ちゃんは遠距離、私と絶ちゃんは近距離のアタッカーだからタンクと回復とかの役割が欲しいところではあるんだよね。」


「鮮血姫はそう言う意味やと最高のタンクと言えるからな。」


 ど、どうしよう……日向も絶歌もクランに誘えるなら誘う感じだ!


「取り敢えずこの話は終わり! 絶歌のご飯美味しいなぁ!」


 これ以上の会話をするといけない気がして別の話題にシフトチェンジさせる。


「ありがとうなぁ。弁当なんて自分以外に作ったことなかったから楽しかったわ、日向はどうやった?」


「勿論美味しかったよ! これが毎日食べられるなんて夢みたい!正直、絶ちゃんの料理食べたあとだと他のやつ食べれなくなりそうで心配。」


「あっはは、嬉しいこと言ってくれるけど流石にレストランとかプロには負けると思うで。いつかは超えてやるけどな?」


 私も日向も絶歌の料理に大満足だ。毎日この料理を食べてると食べ過ぎに気をつけないといけないのが問題かな。


「さて、お弁当も食べ終わったことだしそろそろ教室に戻ろっか!」


「うん!」

「やな」


 昼休み終了の鐘の音を聞きながら私たちは教室に戻った。




「フフッしろ〜♡」

「白ちゃんから離れろー!」

「で、どうしてこうなったの……」


 私は空を見上げながら現状の光景になった経緯を思い出す。

 それは私たちがダンジョンに入る為にギルドを訪れたところまで遡る。


「そういえばギルマスさんにパーティーでダンジョンに行く時、一回ギルドに寄ってくれって言われてたんだよね。」


 昨日、素材を換金してる時にギルマスさんから言われたんだった。


「なんだろうね?白ちゃん何か言われてないの。」


「いや、忙しそうにしてて「来てくれ」しか言われて無いかな。」


 ギルドはいつも通り賑わっていて午後とは思えないくらいには人がいる。


「こんにちは、ギルマスさんって今いますか?」


 いつもの受付さんに話しかける。若干視線を感じるけど気のせいだと思いたい。


「あ、白さん!ごめんなさい、今ギルマスはいなくて……ただ伝言は預かってますよ。」


『ネームドの討伐は認められていないが、生放送でバッチリ写ってたからな。Eランクに昇格だ!それとパーティーメンバーもEランクに昇格出来るようにしといたからな!』


 受付さんに渡された手紙には私と日向のEランク昇格とパーティーメンバーをFランク昇格すると言う内容が書かれてた。


「通常、パーティーメンバーに昇格は付かないんですがネームドの討伐報酬の代わりだそうです。白さん達なら悪用はしないだろうと。」


「「ありがとうございます!」」


 ギルマスさんありがとう!これで目標のDランクまであと少し!


(実はローブはネームドもどきの瀕死まで追い込んだってことでお父さんが返さなくて良いって言ってたけど……黙ってたほうがいいよね。)


 白のモチベーションの低下を恐れた日向はそのことを黙っていることにした。


「どうする? Eランクになったから行けるダンジョン増えてるはずだけど。」


「まだ、いいんじゃないかな。ここまで何とかなってたけどその、日向の言う役割?が揃ってないまま行ってもこの前みたいに全滅しかねないし。」


(知識不足っていうのもあるしね。)


「うちもそう思う。手強い相手になった時もし、攻撃をされまくったら防ぐ手立てがないからな。うちのスキルは結界タイプやから囲まれたら逃げれへんし。」


 絶歌も私と同じ意見かな。日向はどうだろう?


「私も賛成。回復はポーションを使えば何とかなるけどタンクを探さないとこの先どうしようも「なら、私なんかどう?」へ?」


 気がつくと後ろに見覚えのある女性が立っていた。黒髪で背の高いモデル体型のその女性は。


「「「鮮血姫!!」」」


 白が恐れていた人物だった。


「ギルドで待っていれば会えると思ったのよねー。どう? 私をパーティーに入れてくれない?」


「良いんですか?」


「勿論!正直、男ばっかりでパーティーに誘われてもそういう目的の輩しか居なくて……それに私の癖も気にしなさそうだし?」


 まるで蛇に睨まれた蛙の気分。完全に獲物を見る目なんだけど!?


「そ、それじゃあ仮加入ってことで……」


 日向が言うには頼もしいタンクだと言うので私が折れることにした。だってそうでもしないと毎日追いかけて来そうだもん!


後書き


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