第43話 戦闘のその後
「!白ちゃん髪が……」
原初覚醒によって髪色が変化していた白は効果が切れた事で次第に黒に戻り始めた。いち早くそれに気がついた日向は白にフードを被せる。
「白ちゃんのスキル、デメリットを無視する効果があるみたいだけど効果切れそうだよ?」
「ん、ありがとう日向。まだあまりよく分かって無かったからまた日光で死ぬとこだったよ。」
せっかく倒したのに日光で死んじゃったら勿体無いよね。それにしても日向のお父さん本当に強かったなぁ。
赤い狼の残骸を見ていると通常のオオカミ同様消滅して光の球と素材が落ちてきた。ギルマスや豹牙は勿論のだが、日向と白にもそれは手に入った。
『レベルアップしました』
無機質な音声が鳴り響き、私は呆けた後にステータスを確認した。
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夜雀 白
種族:吸血鬼
レベル:5
スキルポイント:20
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「ポイントが…増えてる……?さっき全部使ったはずなのに。」
白は確かに原初覚醒の代償としてレベルダウンとスキルポイント15を使った。だがステータスにはしっかりとレベル5とスキルポイント20の文字が書かれている。
「そりゃあネームドもどきとはいえ特異点を倒したら報酬が出るからな。えっと白だっけか、日向が世話になってるな。」
周囲の狼を蹴散らしていた豹牙が戻ってきて更に話しかける。それはクランマスターの顔ではなく父親として顔だった。
「いや、むしろ私の方が日向にはお世話になってます。いつも私を引っ張ってくれる大切な友達です。」
「そうか、いい友達に恵まれたな日向は。」
そう言うと日向のお父さんは【
「全くお父さんも素直じゃないんだから。多分、白ちゃんに話しかけるまでクランに誘おうと思ってたよ、お父さんは。」
「まさか!私なんかがあんな凄い人のクランに誘われるなんてあり得ないよ。」
私の強さは魔力頼みの遠距離攻撃で原初覚醒なんてそうなんだも使える物じゃないし。
「いや、そんな事ないぞ。お前らはほぼ二人だけでネームドを倒しかけたからな。生放送を見てた奴らはアレがネームドになりかけてることに気がついてる。そんな化け物を二人で対処したなんて有名無名問わず勧誘待ったなしだ。」
「ごめん、私が生放送したから……」
「ううん、日向が謝る事じゃないよ。いつかは誰かの目に止まってたと思うし、強くなるって決めたんだから今更だよ。」
強くなるって決めた時から、日向の夢を聞いた時からこうなることはわかってた。それが早まっただけ。
「普通喜ぶもんだけどな?ただ、何処かの所属になる事は物凄く俺も薦めるぞ。」
「どうしてですか?」
「そりゃあ、お前たちが無名かつ女の子二人のパーティーだからだ。寄ってくる奴の中には良くない考えのやつも残念ながらいるだろう。そう言う時に大きな後ろ盾はお前たちを守ることに繋がる。特に外だとな。」
そっか、日向のお父さんはそれも見越して誘おうと思ったんだ。でも、さっき日向はやめたって言ってた、何でだろう。
「でも、所属していいことばかりでもないですよね?そりゃあ、お父さんのクランに入ったら守ってくれます。ただ、アレでも日本有数のクランですから縛りはあります。たぶん、クランの誰かがパーティーに加わるはず。」
日向の目標はお父さんを超えることだから……きっとお父さんのクランに入るのは嫌なんだろうな。
「それなら私は日向と二人でいることにします。日向が無理するならそれは私としても嫌です。」
普段、こんなに人に話すことも意見することもなかったな。原初覚醒を使ってテンションが上がってるかも。
「まぁ、それだけじゃない事は確かだ。三つ目の選択肢、自分のクランを作る、だな。」
自分のクランを作る!?そうか、その手があるのか。
「まぁ、そういうのは後でもいいだろう。そろそろギルドでも野次馬を止めきれなさそうだ。帰るぞ。」
「あっその前に一つだけ……」
私は急いでステータスを弄る。勿論、あの項目を。
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日光耐性 レベル1
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私は恐る恐る指だけ外に出してみる。すると以前より日光に当たることができた!結局、指は消滅したけど。
「ほぅ、初めてみるがそうなるんだな。いやぁ、楽しみだな。俺に日向ぼっこを馬鹿にするなと啖呵切ったお前の活躍楽しみにしてるからな?」
ギルマスさんは意地の悪い笑顔をしながら【
「それじゃ、白ちゃん。」
「うん。」
「「お疲れ様!!」」
私たちもダンジョンから脱出した。
後書き
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