第42話 原初覚醒
あれ、私なんでこんな格好してるの！？羽生えてるし、服もなんか違う！
「白ちゃんからどうなってるの！？」
「えっと、原初覚醒っていうスキルを使ったらこうなったの。」
「そんなスキルがあったの？」
「うん、代償が必要だったから今まで使わなかったんだけどね。」
日向のためなら代償くらいどうって事ないよ！
「その代償ってどんな？」
「えっとなになに？す、スキルポイント20消費！？わ、私の日光耐性………」
流石に想定外の代償に若干揺らぐ白。
「ま、まぁ日向に比べたら安いって！」
「目が泳いでるよ、白ちゃん……でもありがとう。」
それでこの後どうしよう。このまま待っててもいいんだけど。
「あの赤い狼もしかしたらネームドかも。まだ異界化はしてないから完全にってわけじゃないけど。」
「それって本当に不味くない！？どうするの？」
「完全にネームドになる前に叩くしか……」
「わかったよ、やろう！」
いつかは倒す相手なら今やってもいいよね。それにあの狼には大福を殺された仇もあるし！
「ちなみに勝算はあるの？白ちゃん。」
「この状態なら今までできなかったことができる気がするからなんとか。日向は狼の撹乱、私が後はなんとかしてみる。」
いつもの作戦であの狼を倒すことにした。
「いろんなスキルが強化されてる。【闇魔法】！」
もはやモヤというには巨大なそれを圧縮して尖らせていく。
日向が脚を切り付けて動けなくしているけどそれも回復され続けて時間の問題。
「今更痛いとか言ってられないよね！【血液操作】！」
指を噛んで血を流して、血液操作で血でできた狼を作る。血族作製を使って血の狼で更に攻撃させる。
「この一撃で決めてやる！もっともっと圧縮しないと。集めた魔法を一本の大きな槍にして打ち込めば流石のあの狼でも回復できないでしょ！」
「白ちゃん限界！」
日向が後退してきたのを確認して限界までためた魔法を解放する。
勢いよく飛んでいった槍は狼の胴体に深く突き刺さって爆発した。
「はぁはぁはぁ、流石に倒したでしょ。」
原初覚醒したことによって大幅に増大した魔力と自己意識を持つ血でできた狼、そして、日向の攻撃を全て喰らった狼は半身を吹き飛ばされていた。
「よし、流石にあれから起き上がっては来れないよね。日向、肩貸して。もう一歩も歩けないよ……」
「お疲れ様、凄かったよ。そういえばこれ、拾ったよ。」
日向の手には小さくなった大福がいた。
「良かったー大福生きてたんだね。」
元気にジャンプしている姿を見てホッとするのも束の間背後から巨大な影がわたしたちを覆った。
「嘘でしょ……流石にもう戦えないって！」
体を半分吹き飛ばされたのにもう回復し始めてる狼を見て二人は諦める。
「全く、諦めてんじゃねぇぞ！」
二人の横から巨大な人影が現れた。
「「ギルマス」さん！」
「まさか、初めて見た生放送がこんなことになるとはな。間に合って良かったぜ。」
私たちは全身の力が抜けて座り込んでしまった。
「もう俺たちに任せて寝ときな。なぁ、豹牙。」
「おう、カッコよかったぞお前たち！」
「もう、遅いのよお父さんの馬鹿！」
日向は口ではああ言ってるけど嬉しそう。私もギルマスが来て安心して腰が抜けちゃった。
「ったく、うちの新人を痛ぶってくれやがって。覚悟できてんだろうな？」
その後の戦闘は一方的だった。回復していく狼をどんどん切り刻む日向のお父さんと斧で腕を振り払っていくギルマスさんは自分達とは次元の違う力を見せつけた。
「ふぅ、ほぼこの子たちが削ってたおかげでネームドもどきとはいえ簡単だったな。どうだ？立てそうか。」
「すみません、もう少し待ってください。腰が抜けちゃって。」
あんなに倒そうとしてたのに倒しきれてなかったし最後になって腰が抜けちゃったりして恥ずかしいなぁ。
後書き
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