第35話 魔法講座2

 昨日考えた聖さんに会うために私は転身の神殿に。日向は子猫の憩い亭で蓮さんに魔纏の使い方を習うらしい。


「すみませーん、聖さん居ますか?」


 転身の神殿に入って聖さんを探すとその姿は見つからなかった。すると奥の方から物音がして悪いとは思いつつ見にいくことにした。


「聖さん?」


 するとそこには地面で横たわっている聖さんが居た。


「ど、どうしたんですか!?どこか悪いところがあったりするんですか?」


 聖さんをゆすると目をしばしばさせながら目を開いた。


「ふぁーあ、あれ、白さん。どうしてここに?また、死んじゃったんですか?」

「…………もしかして寝てました?」

「あ!私ったらまた地面で寝ちゃってました?すみません、たまになるんですよ。」


 本当にびっくりしたんだから。大丈夫……何だよね?


「心配したんですよ?ちゃんとベットで寝てください。」

「あはは……すみません。それで白さんはどうしてここに?」


 私は昨日の出来事と魔法の操作の仕方を教えてもらいたいことを伝えた。


「なるほど……白さんは魔力を動かす時に何か意識することはありますか?」


 魔力を動かす時?うーん、なんとなく動かしてるからどんなことをと言われると困るなぁ。


「魔力も魔法もイメージが重要なんです。特に白さんの使う闇魔法はその傾向が強い。私の光魔法も。こういう事をしてこうしたい。そんなイメージを持って操作しないと白さんみたいに真っすぐにしか飛ばなかったりします。」


 でも、曲げようと考えたりしたんだけどなぁ。全然意味なかったんだけど。


「白さんはその、槍とか矢にイメージが引っ張られすぎなんですよ。例えば矢の後ろに魔力の糸があって白さんに繋がってると考えてみるのはどうでしょう。矢を放ったら後は真っ直ぐ飛んでいくのは魔法で再現する必要はないはずです。」


 確かに。弓道部で打った時みたいに真っ直ぐ飛んでいくイメージが邪魔をしてたのかな。


「白さんは魔力流しができますから分かると思いますが身体の中でも魔力の流れというものがあります。その流れから伸びていって放出した魔力を魔法として打ち出しているのでその要領でやる事をお勧めしますよ。」


 なるほど……じゃあちょっとやってみようかな。小さい矢を使って……私と矢の繋がりを感じる……


「曲がって!」


 浮かべた矢を正面に飛ばした後、右に曲がるように意識する。すると僅かに右に逸れた。


「やりました!聖さん、ありがとうございます。お陰でなんとなくコツがわかりました。」

「それは良かったです。あの、代わりとは言わないのですが少し魔力をもらっても良いですか?魔力を使いすぎてしまって。」


 そんな事ならいくらでも!確かに聖さんの身体には魔力が少なくてどんどん私の魔力が入っていく。


「もう大丈夫です。ありがとうございます、白さん。」

「いえ、お仕事と関係ないのに教えてくれる聖さんのためならこのくらいやりますよ。それじゃあまた。」


 私は転身の神殿を出てスライム平原で魔法の曲げ方を練習するためにゲートに向かう。

 



「また、倒れちゃいましたか……魔力を使いすぎないようにしてたつもりなんですけどね。」


 白のいなくなった神殿で聖は一人喋る。


「少し、白さんには罪悪感がありますね。きっと白さんは私のことをいい人だと思ってるかもですがそんな事ないのに。」


 聖が神官になったのには理由がある。

 昔は聖も探索者で弟と共に探索をしていた。だが、以前あった【魔物濁流スタンピード】によって探索者としてやっていけない傷を負ってしまったことで神官をやっている。


 そこまでして探索者と関わろうとするのには理由がある。スタンピードの元凶、ネームドによって呪いをかけられた聖たちはそれを解除する為それができる探索者を探していたのだ。


「光魔法では私たちの呪いは解けない。闇魔法でないとこの呪いは解呪出来ないらしい。私も蘭も絶えず魔力を吸い取られるこの呪い。いつか、白さん。あなたが解いてくれる日を待ってます。」


 聖が弟とは違いまだ動けるのは理由があるのだが、それでもたまに倒れてしまう。以前、さらに魔力流しをした際に少し症状が緩和した事でさらにはかなり期待を寄せるのだった。


後書き

ここまで読んでくれてありがとうございます!

面白いと思ったら星とフォローをお願いします!作者が狂喜乱舞して喜びます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る