第33話 魔纏
次の日、私たちは放課後すぐにダンジョンに向かった。魔法研究会はしばらく書類整理でまともに部活が出来ないらしい。
「よーし!【魔纏】を習得しよう。この前のサウナでヒントは見つけた。外側から無理やり内側に移動させようとしてたからうまくいかなかったんだ。身体から湧き上がる感じで……。」
身体にまとうイメージが邪魔しすぎだった。中心から隅々まで広げていく———
『スキルを獲得しました。』
「やった!うまくいったよ!」
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魔纏
種類:アクティブ
魔力を纏い能力を向上させる。
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日向に追いついたよ!これで初心者の森に行ける、レベルを上げることで日光耐性を上げられる。
「日向―!私も習得できたよ。」
「本当?それなら今日は【魔纏】の練習をして明日行こう!」
「今日行けないのー?まぁちゃんと準備した方がいいよね。わかったよ。」
大人しく【魔纏】を練習しよう。まず、最優先は魔物にばれないように出来るようになりたい。
「外に魔力を出さないで体内に留めるイメージ……!」
身体は軽く感じる、魔力を感じるのか試したいなぁ。そうだ、日向に聞けばいいんだ。
「日向―今私から魔力感じる?」
「感じないよ。もしかして魔纏をしてるの?すごいね、私は分からないようにするの無理そう。どうしてもムラが出てしまうからばれちゃうみたい。」
確かに日向は隠れるだとかそういうのは苦手そう。やる必要もないからそこまでしなくてもいいのかな。日向自身自覚してるみたいで強化の方を試してる。
「私は魔法メインだからそれに役立つものを強化した方がいいかな。そういえば大福を出しておこう。【眷属召喚】おいで大福。」
赤いもちが宝石から飛び出してくる。言葉での会話はできないけど何となくの意思疎通はできる。
「そこらへんで遊んでいて?私は少し練習をしてるから。」
宝石の中がどうなってるのか知らないけど広い場所で好きにできた方が楽しいよね!
「まずは魔纏状態で闇魔法を使ってみようかな。【闇魔法】あ、凄い!魔法の出せる量が増えてる。これなら今まで以上に硬い魔物でも倒せる。あとは……」
闇を圧縮して槍の形にしていく。通常より多いからいつもの大きさにするまでに時間がかかるのは注意だね。あ、スライム。
「いけっ!」
飛んで行った槍はスライムのいたあたりに飛んでいき通常の5倍の爆発をたたき出した。
「うわぁ!?びっくりした。思ったより威力が倍以上になるなんて本当に使いどころ間違えないようにしなきゃ。そうだ、弓道部の時みたいに弓にしたらどうなるかな。」
闇の形を弓と矢にして引き絞る動作をする。本来そこまで弓の役割は魔法において必要ないのだが、矢を飛ばすなら弓がないといけないというイメージによって弓も作り出していた。
「フッ!」
勢いよく飛んで行った矢は槍でも飛ばないくらい遠くまで飛んでいきスライムを打ち抜いた。
「やった!これなら、私の攻撃手段が増えるね。槍で爆発させる以外の攻撃手段がなかったから弓道部に―——ドンッ!……あれ?」
矢は闇を形を変えたものだった為当然圧縮され、着弾の後爆発したのだった。
「本当になんで全部爆発するの!?」
落ち込んでいると大福が肩をポンポンと叩く。
ありがとう大福、なぐさめてくれるんだね。って大福!?なんか分裂してない?
大福は端のほうだけ伸ばして切り離し破裂させた。その行動を見て何か伝えたいのだと確信した白は考える。
「伸ばしてるのは矢かな。その先っぽだけを切り離してる……矢の先……矢じりかな?あ、やっぱりそうなんだね。」
大福は小刻みにジャンプして正解だと教えてくれた。
「矢の先っぽだけ爆発できるようにするってこと?確かにその方が魔力を少なくできるかも。」
そのあと何とか爆発しない矢と先っぽだけ爆発する矢を使えるようになった。これで狙った場所だけをピンポイントで攻撃できる!
「あとは血液操作なんだけど多分そんなに変わらないよね。うーん、後必要になるのは特定の部位の強化かな。目を強化したら視力とか良くなるのかな?」
試しに目を強化してみると予想通り遠くまで見えるようになった。ちょうど日向がステータスを確認してるとこが見えて、その後ろをスライムが狙ってる!
「この距離でも見えるなら……当たる!」
とっさに作った弓矢で日向に跳びかかるスライムを打ち抜く。
「え、あ、白ちゃんありがとー!ちょっと集中しすぎてたよ。」
「ここで危険がほぼないとはいえダンジョンなんだから気を付けてね?それでどうしたの?」
「さっきレベルアップしたからスキルのレベルを上げてたの。」
「それほんとう!?やったこれで私たち二人ともレベル3だね。」
最初に私だけ先にダンジョンに潜ってたぶん早くレベルアップしたから気にはなってたんだよね。
そのあともスキルの組み合わせとか練習をして明日から初心者の森に向かうことにした。
後書き
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