第29話 血液操作

「明日はどうする?ダンジョンで魔物を倒す?それとも練習する?」

「今ので感覚掴めた気がするから練習したい!出来れば明日中に【魔纏】を習得できたらいいかな。」

「じゃあ、明日はスライムの平原に行こう。それじゃ寝よう?」

「「おやすみー。」」


 昨日話した通り、私たちはスライムのいるこのダンジョンに足を運んでいた。別に夜とか朝には何も無かったよ。日向の胸に顔を埋めてたりとか日向の弱点が背中だとか喉を撫でると気持ちよさそうにするとかそんなことはなかった。


「そ、それでさッ白ちゃんは【魔纏】の習得はできそうなの?」


 日向が気まずそうに聞いてくるので答える。


「それが、身体の内側から纏う感覚が良くわからなくて。それさえ出来ればできる気がするんだけど。」

「白ちゃん割と感覚派だからふとした時にできるようになるかもね。魔力コントロールに関しては問題なさそうだから他のスキルを試してみたら?」


 他のスキルかぁ。今のところ使ってるのは闇魔法くらい。血液操作はこの前、スライムを防ぐ時以来使ってないなぁ。今日は血液操作を練習しようかな。


「【吸血】いったッ。わざわざ自分で怪我しないといけないのどうにかならないかなぁ。」

「そういえば、そのスキルどんな効果があるの?」


 正直、私には使えないスキルなんだよね。血を流す専用って感じ。


―――――――――――――――――――――

種類:アクティブ


その牙は生命を啜り糧にする。


―――――――――――――――――――――


「それだけ?」

「うん、別に噛んでも何にもならないし、牙を生やすスキルとして使ってるかな。もしかしたら魔物を噛んだら何か起こるかもだけどーーー」

「その前に白ちゃんが死んじゃうか。」


 出来そうなのはスライムだけど血あるのかな?


「取り敢えず血で戦えるかやってみよう。闇魔法と同じようにやれば行けるかな?」


 闇魔法の要領で細く速く飛ばすように意識する。闇魔法と違って上手く圧縮できなかったけどスライムめがけて発射した。


 飛んでいった血はスライムに当たると弾けて赤いスライムに変えた。そっか、液体だから効果が薄いのか。


「今度は硬くして細く細くッ」


 固まってガチガチになった血がスライムに突き刺さる。思わぬ偶然で一体目に刺さった後貫通して奥にいた2体目に刺さった。


 結局のところ、闇魔法って黒いモヤだからそこまで貫通力無いんだよね。こう言う使い方をすれば良いんだね!


「うわぁー白ちゃんの殺傷力がどんどん上がっていく……私も頑張らないと。」


 私は弾けたスライムに近寄ってまさかを回収していく。狼より小さいその魔石は私の血でびしょびしょだった。


「どうにかならないかなぁ。あ、そういえばこの前も血液操作でスライムみたいになったんだよねぇ。ってあ、しまった!」


 変に考えてしまったせいで魔石についていた血がスライムのようになってしまった。その瞬間、頭に声が聞こえてきた。


『スキルを獲得しました。』


「え!?なんで?」


 急いでステータスを確認するとスキル欄に一つ増えていた。


―――――――――――――――――――――

血族作製

種類:アクティブ


刻まれた魂を元に祖は新たな従僕を生み出す。無から生み出すのではない。有から有へと変質させるのだ。


―――――――――――――――――――――


 私の手の上で跳ね回る普通のスライムより一回り小さなスライムは確かに私の意思とは関係なく動き回っている。


 た、確かめないと。もし、私がこのスライムに言うこと聞かせられるなら役に立つかも!


「ジャンプ!あ、それはずっとしてるか……そうだ!三角になれたりする?」


 日向がちょうど魔力の形を変えたのをみてスライムだって形変えられるのではと試してみた。


「あ、頑張れ!もう少し、そうそれ!」


 私の言うことちゃんと聞いてる!三角に偶然なるなんてことないもんね。


「日向ー!ちょっときてー?」


 私は早く見せたくて急いで日向を呼ぶ。それがいけなかった。


「どうしたの?」

「見てこのスライム!新しいスキルを手に入れてね?作れたの。」

「そのスライムってあれ?」


 日向が指差す先には今まさにスライムに襲われる赤いスライムがいた。急いで向かうのも間に合わずにスライムは飲み込まれた。


「そんなぁ。せっかく出来たのに!」

「まぁまぁ、そんなに落ち込まないで?スキルで作ったならまた作れば良いじゃーーーえ?」


 慰めてくれていた日向が急に黙った。私も何事かと振り向くと、二回りくらい大きくなった赤いスライムがいた。


「もしかして、さっきの?」


 私が話しかけるとスライムは急に変形して三角になった。さっき教えたやつだ!


「良かったー!死んじゃったかと思ったよー!」

「……………まさかテイムすら出来るなんて。どうなってるの、白ちゃんのスキル。」


 良かった。もしかして、飲み込まれた時に逆に侵食したのかな?凄いけど怖いな。


「白ちゃん、もしその子が白ちゃんの言うことを聞くなら名前つけてあげたら?魔物を使役できるスキルはいくつか見つかってるけど全部、名前をつけると正式に仲間になるらしいよ。」


 そうなんだ……うーん、名前かぁ。赤、スライム、丸くて、赤い……


「決めた!あなたの名前は大福ね。よろしく!」

「それって白ちゃんがいちご好きだからってだけでは?」

「だって、赤くてもちもちしてて苺大福みたいだったんだもん。」


 いいよね?いちご大福。


「まぁ、本人?がこうして気に入ってるなら良いや。」


 大福は小刻みにジャンプして喜び?を伝えてきた。


後書き

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