第27話 スキル習得

「良かったんですか?お店閉めちゃっても。」


 私たちは蓮さんがおすすめのスキルがあると言われ一緒にスライムのダンジョンに来ていた。


「えぇ、最近ダンジョンに潜ってなくて体が鈍っている気がしたのでちょうど良かったです。さて、お二人にお勧めしたいのはこのスキルです。

魔纏まてん】」


 蓮さんがスキルを発動すると体の周りを魔力が包んでいった。これがおすすめのスキル。


「この【魔纏】は身体に魔力を纏って強化するスキルなのですがかなり使い勝手がいい。一箇所に集めれば飛躍的に能力を向上できます。」

「でも、蓮さん。魔力を纏うのは他の探索者だってやってるよね?わざわざスキルでやる必要なくない?」


 そうなんだよね、ギルドの中に居た強そうな人たちも薄ら魔力で体を覆ってたし。


「このスキルはですね、ただ纏うのとは少し違うんですよ。他の探索者が体の外に纏うのと違いこのスキルは内側から身体に作用します。今は分かりやすく外にも出して鎧のようにしてますけど。」


 うーん、それは分かったけどでも必要かと言われたら微妙な気がする。


「白さん、話を聞いてましたがそのローブを着ていたのにオオカミに気が付かれた、と言ってましたよね?」

「はい、匂いとかで気がつかれたのかなって思います。」


 急に私の方を向いてびっくりしたのを覚えてる。


「それは、匂いもありますが魔力を感じたというのもありますね。本来、タンクなどの役割をする人が引き付けておいて後衛の人に行かないようにするのですが、日向ちゃんはタンク出来るほど強くないので。」

「うぐ!うん。そうだよね……。」


 あわわ、また日向が落ち込んじゃった!


「まぁ、そういう人員は後で探してもらうとして。内側から纏うとどうなるのかというと……どうですか?魔力を感じますか?」


 蓮さんの身体にあった魔力を感じない!さっきまで感じてたのに!そっか私もこれが出来るようになれば気がつかれずに済むってこと?


「感じないです……蓮さん!これ、私に教えてください!!」

「私も!!」


 ちょっとだけこそばゆいような表情をした蓮さんだったけど習得の方法を教えてくれるらしい。


「まず、精密な魔力コントロール。それから体内に魔力を染み渡らせるイメージ。そして、その魔力を一点に集めることが出来れば【魔纏】は習得できると思います。」

「ぬぬぬぬぬ!無理だよぉ〜私こういう細かいの苦手!白ちゃん良くこんな細かい操作できるよね。」


 今私たちは各々の魔力を出していろいろな形に変化させる練習をしている。私は闇魔法で良くやっているから意外とすんなり出来た。ただ身体に染み渡らせるイメージができずにいた。


「日向ちゃんは飽き性だからねぇ。ほら、取り敢えず丸にしてごらん?」

「ふにゅうぅぅぅ!」


 日向の魔力はぷるぷると揺れて形がなんとか丸になっても持続出来なくて霧散しちゃう。


「【猫爪】は勝手に爪の形になるから魔力なんて気にしたことなかったよ……白ちゃんの爆散闇魔法って凄かったんだね……改めて感じるよ。」

「ちょっと恥ずかしく感じるからその名前やめて!」


 それからしばらく練習をしたけど私は体内に留める感覚が、日向は魔力コントロールが課題となって今日はお開きとなった。


「今日はありがとうございました!また今度来てもいいですか?コーヒーの事でも話してみたいです。」

「えぇ、白さんなら大歓迎ですよ。」

「私の白ちゃん口説かないでくださいよー。ねっ?」

「そんなんじゃないよ。……確かにこういう大人っぽい人カッコいいなと思うけど。」


 お父さんは何というか、頼りない感じだから凄く魅力的に感じるのかな。それに私のことをちゃんと理解して話してくれるからとても居心地が良い。


「白ちゃーん……私を置いてかないでぇ泣くよ?」


 日向が冗談で泣き真似をしてくる。この前の一件でもっと仲良くなった気がするな。


「大丈夫、日向は一番の親友だからね。置いてったりしないよ。」

「白ちゃん……!」

「ん"ん"っそろそろ家に戻ったほうがいいですよ。豹牙から凄い連絡が来て大変なんですから。」

「もう、お父さんったら。それじゃあまた来るね!」

「ありがとうございました!」


 私たちは駅に向かって歩き出す。日向を見送らないと。少し、寂しいけど明日もまた会える。


「それじゃ、また明日ね。明日こそ魔力コントロール完璧になるからね!」

「うん、私も頑張る。また明日!」


 電車のドアが閉まって日向が帰っていった。


「よし、帰って食器片付けたら練習しよう!」


 家に帰って家事を終わらせた私は自分の部屋で魔力コントロールの練習をして時間を潰していた。日向と別れたのが3時過ぎそこから気がつくと辺りが真っ暗になる程の時間練習していた。


「もう、9時!?そんなに練習してたんだ……。疲れたし寝ようかな。あ、日向の匂いがする……。」


 若干自分が変態のようなことをしてると自覚しながらも眠りに入ろうとすると急に家のインターホンが鳴った。


「誰だろう……こんな時間に。」


 寝ぼけながらも外に出る白はそこにある人物を見つけて駆け寄る。


「日向だぁーこんな時間にどうしたの?」

「その、ちょっと家出しちゃって。しばらく泊めてくれないかな。」


後書き

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