第26話 作戦会議
講習を終えて行動から出ていく参加者たち。中には集まった人たちでパーティーを組むのか受付に行く人もちらほらいた。
「どう?白ちゃんも参考になる話あったんじゃない?」
「うん、ダンジョンについてよく知れたかなぁ。この後どうするの?流石にダンジョンには行きたくないかな。頭使って疲れちゃった。」
情報量が多過ぎて頭がパンクしそう。
「もうそろそろお昼だしご飯食べて休憩したら、今後の予定を決めようかなって。どこのダンジョンに行ってどうやって強くなるか。前は私が引っ張り過ぎてたから。」
「うん、私も一緒に考える。日向だけに背負わせないんだから。」
◆
「という訳で!蓮さん、ランチのおすすめちょうだい!」
私たちは子猫の憩い亭でお昼ご飯にすることにした。ゲート近くに酒場とか飲食店があるおかげでこの店は知る人ぞ知る名店となっていた。
「日向ちゃん、私がいうのもなんですけどね?他のお店に行ってみるのもいいと思いますよ。せっかくお友達ができたんですから。」
「あ、あの。私がお願いしたんです……蓮さんのお店がいいって。」
他のお店だと人が多くて苦手だからこのお店なら人が少なくて落ち着けるって日向にお願いしたんだよね。雰囲気もすごく好き。酒場みたいな騒いでるところはちょっと……
「それはそれは。うちの店を気に入っていただけて何よりです。」
蓮さんは嬉しそうにガラスを磨いていた。
「そうですねぇ……味噌カツサンドなどいかがでしょうか?最近、いいお味噌を仕入れまして試してみたいんですよ……!」
「じゃあそれで!白ちゃんもそれでいい?」
「うん、あ、それとコーヒーを貰えますか?ブラックで。」
「おぉ、日向ちゃんはコーヒーは飲みませんから退屈だったんですよ。なら珍しい豆を使ったブランドを出しましょう♪」
凄い上機嫌で蓮さんは厨房に入っていった。蓮さんってやっぱりコーヒー大好きなんだ!カウンターにもコーヒー豆がいっぱいあって気になってたんだよね!
「うー蓮さんに白ちゃんがとられたー。コーヒー飲めないからって仲間はずれにされたー!」
「日向って苦いの苦手なの?」
「か、カフェオレなら……」
あ、飲めないんだ。
日向の愚痴を聞きながら時間を潰しているとカツサンドをもって蓮さんが戻ってきた。
「お待たせしました、味噌カツサンドです。コーヒーはもう少しお待ちください。」
「蓮さーん、カフェオレ飲めるんだからコーヒー飲めてるよね!?」
日向が蓮さんにそう問いかけると急に雰囲気が変わった。
「日向ちゃんはコーヒー出しても角砂糖5つとミルク三杯入れるでしょ?それコーヒーともカフェオレとも言わないから。豆が勿体無くて頼まれても出さないよ。」
そんなに入れるの!?確かにそれは勿体無いよ……日向。
衝撃の事実を知った私だけど気にしないで味噌カツサンドを頬張る。
なにこれ美味しい!揚げたてのカツの衣がパリパリでそれに味噌の甘塩っぱさが合う!それに食パンに味噌が染みてレタスと合わせて重たく感じないよ!
「蓮さん、これ本当に美味しいです!メニューに加えて欲しいくらいです。」
「そう言ってもらえると嬉しいですねぇ。あとで書き加えておきましょうか。実はこれ私の実家で作ってるんですよ。弟が家の家業を継いでましてね。」
蓮さんの実家ってお味噌作ってるんだ。意外だなぁ、ワインとか作ってそうな気がしたんだけど。カウンターとガラスを拭く仕草のせいかな。
「それだけじゃないでしょ?醤油からワインまで色んな醸造をしてるとこじゃないですか。」
「あ、やっぱりそうなんだ。蓮さんとワインの組み合わせがすごく似合うからそうなのかなって。」
「はは、私はそんなんじゃないですよ。弟に家を任せて飛び出してきてしまいましたから。今、家で作ってる物を卸してくれるだけで奇跡ですよ。」
蓮さんの言葉には色々なことを経験してきた重みを感じた。きっと言葉にしないだけで色んなことがあったんだ。
「さて、お腹も膨れたし、今後の予定を決めようかな!」
「取り敢えずどんなダンジョンに行くか、だよね。」
「私としてはゴーレム遺跡なんだけどね。」
「却下だよ。私に遠慮して日向が強くならないんじゃ意味ないよ。」
「だよねー。私の【猫爪】だと弾かれると思う。」
そうなるとやっぱり狼が良いのかな?でも正直、人が足りない。囲まれたらこの前みたいに各個撃破されちゃう。
「やっぱり人を増やすのも手だと思う。出来れば女の子で。」
「そうだよねー。男一人に女二人だと変なことになりそうだし、白ちゃんがキツそうだよね。」
「うん、話しやすい方がいいかな。女の子ならまだ仲良くなれると思う。出来れば私の外見を変だと思わない子がいいな。」
「白ちゃんって自己肯定感低いよね。白ちゃんをみてる何割かは綺麗とか可愛いとかだと思うよ?妬みとかもあると思うけど。」
そんな訳ないでしょ。白髪頭の不気味な子ってだけだよ。お世辞がうまいなぁ。
「んーまぁ白ちゃんの自信のなさは置いておいて。人を増やす、それか別のダンジョンに潜るか、だね。蓮さん、おすすめのダンジョンってないの?」
そうだよね!蓮さんってCランクの探索者だった!
「迷宮タイプや階層タイプはふたりには早いですからそうなると……初心者の森ですかね。」
「初心者の森……ですか?」
「ええ、森が多く視界が狭いのが難点ですが、草食動物型の魔物がいるダンジョンです。狼を倒すことができるなら練習になるのでは?」
多対一の状況でも戦うのには打ってつけかも!
「そこが良いんじゃない?日向!」
「うん、そうしよう!」
私たちは狼たちに囲まれた時の練習として初心者の森に行くことに決めた。
「あ、もし練習するというならおすすめのスキルがありますよ。」
後書き
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