第23話 子猫の憩い亭
何だろう……すごく頭が気持ちいいものの上に乗っかってる……それにいい匂いぃ。
「ぅうん……」
「白ちゃん起きた?気持ちよさそうに眠ってたねー?」
あれ、上から日向の声が聞こえる……って!?
「私寝てたの!?」
私は急いで目を開けて起き上がると外は暗くなってた。
「私が起きたら白ちゃんが隣で寝てたから膝枕しちゃった。寝顔も見れたしね?」
はうぅ、変な顔してないよね!?ということは気持ちよかったのって日向の太もも?………………もう一回してくれないかな。
「また今度ね。そろそろ帰らないと。」
「私そんなに考えてることわかりやすいかなぁ!?あっ聖さんは?」
「少し用事があるとかで出かけたよ。あと少ししたら帰ってくると思うから待ってようか。」
そのあとすぐに聖さんは戻ってきた。あ、でも私服だ。服で人の雰囲気って変わるとかいうけど聖さんはほぼ別人かも。優しいお姉さんって感じ。
「白さん起きたんですね、とても気持ちよさそうに膝枕されていたのでお邪魔かと思って出かけてましたー。もういいんですか?」
「だ、大丈夫です!すみません、寝てしまってお邪魔でしたよね。」
聖さんにも寝顔見られた……!うぅ恥ずかしい、もしかしたらほかの人も見てたりして……そんなことないか。私を見るなら日向か聖さんを見るよね。
「大丈夫ですよーもうアバターを作りに来る人はほぼいないですし。白さんは日に当たるといけないと思って端の方に移動させたのであまり人には見られてないかと。」
よかったー。そういえば日向は門限大丈夫なんだろうか……
「日向そろそろ家に帰らないとお父さんたち心配するんじゃないの?」
「もう思いっきり門限過ぎてるから今更かな。」
「えっ、ご、ごめん!ど、どうしよう。私が寝たばかりに……」
「冗談だよ!お父さんには門限遅れるからって伝えたから。白ちゃんおなかすいてない?探索者通りでご飯食べようよ。」
あ、よかった。私なんかのせいで怒られてたら申し訳ないからね。
くぅっくぅーーー
あ、おなかの音なっちゃた。恥ずかしい!
「うん!おなかすいてるみたいだね?夜だから日傘もいらないでしょ?行こっ」
「お、おなかすいてるわけじゃないけど行こうかな?」
「素直じゃないなぁー?」
私は日向と一緒に昼とは違う明かりのともる道に入っていく。
◇
「この通りの街灯って珍しい形してるよね。西洋風っていうのかな?」
ランプみたいな街灯に丸い光が灯っていてここだけ異世界のような印象がする。人ごみだと異物感を感じる私もここだとまぎれられる気がする。
「最近、魔石を加工した街灯が他の魔道具が開発されてね?この探索者通りで試験的に使われてるんだ!電気じゃなくて魔力で動いていて補充すれば半永久的に動くはずなんだって。」
魔道具って確かダンジョンから出てくるアーティファクトを参考にして作られた道具のことだよね?すごいなぁ。
「私この景色好きかも。ここだと自然体でいられる気がする。」
「白ちゃんも気に入ってくれたかー。小さいころからここに通ってるけど最近本当に夢みたいな景色を実現できるようになってきたんだよね。私のよく行くお店に連れていきたいんだけどいいかな?」
「日向の行きつけのお店?うん行きたい!」
この前は肉巻きを食べたけど今日はどんなものを食べられるかな。楽しみだなぁ。
日向に案内されて奥のほうまで行くとどんどん人がいなくなって静かになってく。
「ここが私のおすすめのお店!子猫の憩い亭!」
「子猫……なんだか日向みたいだね。」
「このお店が出店するときからお世話になってるからね。子猫っていうのは私をからかった名前なんだ~。」
おしゃれな外観だけどあまり人がいなくて落ち着いた印象のお店。レンガでできた壁が印象的。
カランコローン
中に入ると少しのテーブルとカウンターの並んだ喫茶店のようなお店だった。
「蓮さんきたよー!」
日向があいさつを店の奥の方にすると奥からシルバーグレイのかっこいい男の人が出てきた。
「いらっしゃい、日向ちゃん。おや、お連れは初めましてかな?
「蓮さん!恥ずかしいからやめてぇー!?白ちゃん速く座ろ?ね?」
すごく仲のよさそうな蓮さんと日向を見て私の知らない日向を知れてうれしくなる。日向に引っ張られてカウンターに座った私はメニューを渡されて考え込む。喫茶店という割に異常にメニューの量があるから。
いっぱいメニューがあるなぁ。すごい悩む。全部写真付きで美味しそう!
「ここはどんなメニューでもあるからね。食べたいのを言えばほぼあるよ?」
「何でもはないですよ。日向ちゃんにお願いされたメニューを増やして言ったせいでこんなに増えたんですよ。」
「そ、そうだっけー?覚えてないなぁ、あはは。」
うん、絶対に嘘だ。私の考えてることわかりやすいとか言ってたけど日向もたいがいだと思う。
「この、レッドボアのソテーを食べてみたいです。この前、食べておいしかったお肉だったので。」
「わかりました。日向ちゃんはどうしますか?」
「私も同じので!」
「わかりました。少しお待ちを。」
蓮さんが厨房の方に戻っていった。もしかしてこのお店、蓮さん一人で経営してるの?
「このお店はね、私のお父さんが蓮さんのために作ったお店なの。蓮さんは私のお父さんのクランの最古参メンバーなんだ。」
「ということは蓮さんも探索者なの?」
「うん、Cランクだって聞いたかな。」
すごい……!でもどうしてお店をやってるんだろう。
「どうしてもお父さんたちについていけないと思ったんだって。不仲ってわけじゃなくて強くなっていく速度に追いつけないと思ったらしいの。」
「Cランクでも!?そんなに日向のお父さんって強いの?」
日向は自慢するみたいに笑った。
「うん!私の知る中で一番強くてかっこいい探索者かな。」
「そうなんだ。私もあってみたいな、ローブのお礼もしたいし。」
「今はダンジョンに遠征してるから戻ってきたらかなぁ。」
話していると美味しそうな匂いが厨房から香ってきた。お肉の焼けるにおいと酸味を感じるソースのにおいが私の空腹を刺激する。
「お待たせしました。レッドボアのソテー赤ワインソース添えになります。」
「ありがとうございます。」
ふわぁ!すごい美味しそう!わぁ、切った断面から肉汁がどんどん出てくるよ!
「レッドボアは外の方の肉は脂の少なめな肉をしていて、内側はジューシーなステーキに向いたお肉なんです。特にこのお肉は大型のもので内側の一番おいしい部分を使っています。女性でも食べやすいといわれます。」
確かに脂っこいかと思ったけど赤ワインの酸味とお肉のうま味と肉汁の脂がいい感じに合わさってるよ!
「おいしいね、日向!」
「うん、初めて食べたけど蓮さんの料理美味しいです!」
「ありがとうございます。」
そのあとも日向と話しながらソテーを食べていく。
「ねぇ、このパフェ二人で食べない?一人で食べれる量じゃないんだよね。」
「うん!パフェ初めてだから楽しみ!」
「あ、そうなの?」
「お母さんは甘いの好きじゃないから一人で食べられないと思って頼んだことなかったの。」
「なら、きっとおいしくてまた頼みたくなるよ!蓮さんおねがい!」
どんなパフェなんだろう?
「お待たせしました、猫パフェになります。」
おぉう、確かに一人じゃ食べられないね。でも可愛い!
白の目の前にはたくさんのフルーツとアイスクリームとコーンフレーク、ゼリーの層になったパフェが来た。クッキーでできた猫の形のトッピングのついていた。
「それじゃ」
「「いたたきます!」」
後書き
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