第14話 ランクアップ

 各自のスキルを確認し合いスキルアップした私たちは回収したスライムゼリーをギルドに提出することにした。


「お次の方。あ、白さん、日向さんもしかして素材提出ですか?」


 あれ?私たちの名前を知ってる。どこかであったっけ?


「ほら、ギルマス呼んだ時の!」


 あ〜!あの時の受付の人か!私たちのせいで怒られちゃって申し訳なかったなぁ。


「はい、スライムゼリーを取ってきました。えーと?」

「ここに置いてくださればいいですよ。はい、スライムゼリー、33個ですね。おめでとうございます!お二人ともFランク昇格です。」


 やった!これで目標のDランクに近づくよ!確か聖さんもスライムゼリーを納品したらランクが上がるって言ってたもんね。


「白ちゃん、ほら!」


 ?日向が手を出して何かしてる……なんだろう。


「ハイタッチだよ、ほらほら!」


 お、ぉう。私こんなに幸せだと思ったことないよ!誰かとしてみたかったこといっぱい叶っていく。日向に誘われなかったら味わえなかったんだよね。


 私は日向を感謝の目で見つめる。


 そうしたら受付の人が咳払いをしたあと説明を始めた。


「まず、査定額の方から。スライムゼリー一つにつき100円、それが33個で3300円となります。次にランク昇格によって使えるサービスを紹介しますね。

 一つ目はダンジョン講習、ダンジョンの基本的なことを教えてくれます。

 二つ目が武器、装備の貸し出しです。初心者のうちはお金が無い人向けに貸し出しています。

 三つ目は二つ目の延長で武器の使い方などを教えます。

 以上がFランクで増えたサービスです!」


 なるほどなぁ、でも、私も日向も武器は必要ない気がする……


「それから、次のランクアップ条件について。5つのFランクダンジョンの踏破、またはFランク依頼の10回達成が条件となります。何か質問はありますか?」


 踏破ってなんだろう?平原でそんな事してないよね?


「ダンジョンの踏破ってなんですか?」

「ダンジョンにはどこかにダンジョンオーブと呼ばれる玉があります。それに触れることができれば踏破となります。ただし、それを守る魔物がいるので注意です。」


 ダンジョンを守る魔物……強そう。私なんかじゃ倒せないかも……。日向の足引っ張っちゃう。私以外の人と組んだ方が日向は強くなれるーーーミッ!?


 私が考え込んでいると隣にいる日向が頭をチョップしてきた。


「変なこと考えない!私と白ちゃん・・・・2人で倒すの。」


 そうだった。こんな私を誘ってくれた日向とダンジョンに潜りたい。今までは無かった私の新しい欲求。自分で手放してどうするんだ!


「うん!」

「眩しいわぁー。受付の仕事してると荒んでくるから眼福ね。」


 私たちはギルドを出て家に帰宅することにした。帰る途中の空は真っ暗で前までの私は孤独感を感じてた。でも、今は日向がそばにいる。


「明日はちょっとお父さんと用事があるからダンジョンにはいけないかも。明後日は一緒にダンジョンに行こう!Fランクダンジョンに挑戦するよ!」

「うん!」


 そっか、明日は一緒に行けないのか……寂しいなぁ。そういえばまだ試したことないスキルひとつだけあったから試してみよう。


 星空の下明後日はどうするか話しているとあっという間に駅に着いてしまった。


「「また明日!」」


 もう、私は1人じゃない。私の中には日向がいて心を暖めてくれる。


 私は1人帰路に着いた。暗い家には誰もいなくて私は片付いてない食器を片しながら今日の献立を考えていく。


「日向と暮らせたらなぁ。………!?何言ってるの私!!べ、別に寂しくないって。ただ、日向とお夕飯を作ったり食べたりしたら楽しいだろうなって…………誰に言い訳してるんだろ。」


 一人でモソモソと作った生姜焼きを食べていく。最近まで家の外で一人でいるのが苦しかった。けど最近は家で一人でいることが寂しい。


 ダメだなぁ、私。日向がいないとダメになっちゃいそう。


 その後、食器を片付けて課題をこなしたあと眠ることにした。


「闇に愛された……か。私はこの暗闇じゃないと生きていけないもんね。」


 眠りに落ちる白を暗闇が優しく包み込んでいく。落ちていく白を包むのは更なる深淵か。それとも夜明けか。



「おかぁさん、私はなんでみんなと違うの?みんな私のこと変だって、気持ち悪いって言うの。普通ってなんなの?」

「……ごめんね。私に似て白には大変なことを背負わせちゃって。でもね、きっと白のことを大切にしてくれる人がいるから。だから……その時は……」



 白は目覚ましの音で目が覚めた。普段はその前に起きるのだがそれだけ昨日が疲れたということなのだろうか。


「昔の事、久しぶりに夢で見たな……大切にしてくれる人か。」


 きっと日向がお母さんの言ってた大切にしてくれる人。なら、その時は私も大切にしてあげる、だよね。


「よし、学校に行く準備しないと!」


 白は制服に着替えパンを焼いていく。


後書き

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