第15話 強くなるとは弱くなること
私は平原の【
「日向がいてくれたら……いや、だめだ。日向に頼り切ったら迷惑をかけちゃう。」
私は意を決して外に出る。日向のくれたローブが私に力をくれる。
「外に出るだけだっていうのに怖がっちゃダメだよね。」
日向と一緒にいるなら早く強くなって日光耐性を上げないと。
「あと一つあるスキルを確認しないと。確かスキルレベルがなかったはず……」
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種類:パッシブ
吸血鬼の祖、その力を開放する。ただし過ぎた力には代償が必ずある。未熟な吸血鬼はその封印された力に何を差し出すのか。
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「なにこれ?」
意味が分からない。代償って何だろう。そもそも、吸血鬼の祖の力って何だろう。
「とりあえず使ってみようかな……」
私がスキルを使おうとした瞬間、目の前にステータスに似た透明な板が出現する。
『このスキルを使うには未熟なため代償が必要となります。』
だ、代償ってあの説明文の!?なしなし!日向もいないのにそんな危ないことできないよ……そういえば未熟ってどういうことだろう。種族を見たらわかるかな。
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吸血鬼(真祖)
真なる吸血鬼の一族。吸血鬼の祖の力を持つ。しかし未熟なためその力は封印されている。
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「あれ?私って確か称号?で吸血鬼の祖って書いてなかったっけ?私の力なのに封印されてるの?」
結局よくわからなかった。取り敢えずスライムを倒してレベルアップを目指そう。
「あ、いた。【闇魔法】」
スライムが二体固まっていた。昨日やった爆発する槍で遠くから消し飛ばした。ほくほく顔でスライムゼリーを集めていく。そこまではよかった。問題は——————
人が見てる!?あれ、人来ないんじゃないの、日向ぁ!
私は恥ずかしくなってローブを深めにかぶって奥の方に移動する。
「あれがスライムか。上手そうやな、じゅるっ」
入ってきたものは全く白のことは見ていなかったのだが。
「ここまで来たら誰もいないよね。ちょっと奥まで来すぎたかな。でも、嬉しそうにしてる顔見られたら恥ずかしいもん。ん?」
体に柔らかいものが当たる感触がする。何だろう。ああ、スライムか……ってどんどん増えてる!?もしかして此処スライムの巣だったりするの!?
「【闇魔法】!」
倒してもどんどん奥からでてくる!キリがないよー!そうだ、最初の時の闇の月。あれを出せれば!!吸い込んでくれる倒してくれる月……掃除機みたいだな。……あ。
私が作った闇はどんどんスライムを吸収していった。ただ、どんどん大きくなっていく。全てのスライムを吸収しきって安心したのもつかの間、風船が破裂するみたいにスライムが飛び出してきた。
「うわぁぁぁぁあ!?」
ぎゅうぎゅうに押し固められたスライムが合体して一つの大きなスライムになってる!?
合体したスライムは白に向かって跳びかかる。
どうしようっこのままだと潰される!槍も間に合わないし、血だって出せない。きっとこんな時、日向なら……逃げない。
「【吸血】!」
私は自身の手を噛んで血を出す。すごく痛いっけどこれなら!
「壁を作れる!間に合って……!」
慣れない血の操作でぎりぎりスライムの攻撃を防ぐことに成功した。
「今度こそ、闇の月!」
余計なことは考えずに土壇場で作ることに成功した月はスライムを包み込んで消滅させた。残ったのは大量のゼリーと光の玉。
「はぁはぁ、やった!やったよ日向ー!」
私一人でも倒したよ!
緊張の糸が切れて尻もちをついた。心臓がバクバクとなって五月蝿い。しばらく私は座り込んで休憩した。
「よし!休憩したし、もう少し倒そうかな。何体か集めて一気に倒した方が楽かな?やってみよ。」
私はスライムをおびき寄せて倒すを繰り返して集めまくった。たぶん100体を超えたくらいにあの声が聞こえてきた。
『レベルアップしました。』
やった!あ、スキルポイントが5もらえてる。あと10ポイント!そろそろ、一回戻らないとバックがいっぱいになっちゃうな……
私は【
「あ、白さん。今日は一人なんですね、どうしましたか?」
この前の受付さんにスライムゼリーを渡して換金してもらう。
「スライムゼリー100個で1万円になります。」
「ありがとうございます!」
私はウキウキでギルドの外に出ていく。まだダンジョンに潜れるけど、今日はやめておく。この一万円で日向にプレゼントを買うから!
私も日向にプレゼントのお返ししたいんだよね。どんなのなら喜んでくれるかなぁ。
後書き
ここまで読んでくれてありがとうございます!
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