第11話 黒猫

 私は銀色のスライムにやられた後また神殿に戻ってきた。

 

 何だったんだろうあの銀色のスライム。ほかのスライムより動きが速かったな……


「白さん、やられちゃいましたか……どうでしたか?魔法は打てましたか。」


 そうだ!私三体スライムを倒したんだ!レベルアップはしなかったみたいだけど……


「はい!魔法でスライム三体倒せました!!聖さんありがとうございました。おかげで魔法の使い方がわかりました。」

「よかったです。もしかして、魔法が使えなくて死んじゃったのかと……」

「あ、えっとそのぅ銀色のスライムにやられちゃって。何か知りませんか————聖さん?」


 聖さんは私が銀色のスライムといった瞬間、急に黙って驚いていた。今までの優しい雰囲気がしなくなって少し怖い。あのスライムに何か思い入れでもあるのかな。


「あっすいません。少し考え事を……白さん、スライムゼリーは手に入れましたか?」


 スライムゼリー?あ、もしかしてあのプルプルしていたスライムが落としたやつかな?日差しの下で倒しちゃったから取りに行けなかったんだよね……


「えっと、ひざしでとりにいけなくて。」

「あ、そういえば白さんは日光に当たれないんでしたね。そうなるとやはり昨日来たお連れの方とダンジョンにもぐるのをお勧めしますね。ランクを上げるためにも、お金を稼ぐためにも素材は必須ですから。スライムゼリーは変形自在で重宝されているので、常時依頼が張り出されています。」


 明日は日向とダンジョンにもぐれるから素材を手に入れられる。そうなると、今日は魔法の練習だけして帰ろうかな。


「わかりました!今日はスライムを狩るのを辞めて魔法の練習をすることにします。」


 私は再び平原に移動して魔法の練習をして家に帰った。最初のよくわからない魔法だけできなかったけど何となく使い方は理解できた。



翌日私は日向とダンジョンに向かっている。


「そういえば、日向も【ダンジョンの悪戯】にあったんだよね?獣人だっけ。」


 私はこの前、日向が自分も【悪戯】にあったことを報告していたのを思い出した。

 

 どんなデメリットがあるんだろう。


「猫の獣人ね。取り敢えず平原に移動しましょう。そっちで見せた方がわかりやすいから。」


 白く光るゲートを通って【安全領域セーフゾーン】に私たちは移動する。昨日も思ったけど人が誰もいない……この前は私と同じ制服の人とかいたのに。


「ねぇ、ここに人がいないのはなぜ?初心者の人はほかにもいたよね?」

「登録した日にみんなこの平原でスライムゼリーを集めてFランクに昇格しちゃうからね。ここは本当にチュートリアルなんだよ。だから、この時間、他の人はあまり来ないの。」


 そうなんだ……私はスライムゼリーを得る前に死んじゃったし、その間にみんな来たのかな?あ、そういえば日向のデメリットを聞くの忘れてた。


「それで、日向のデメリットって何なの?」

「その前に……白ちゃん少し下がって。扉を開けないと私の姿良く見えないでしょ?」


 私は扉から離れて日光が当たらないようにする。すると日向に日があたって姿が見えてきた。日向は黒い猫耳と尻尾を生やしたコスプレみたいな姿だった。あれ、本物なんだよね?さ、触ってみたい。少しくらいなら————


「どう?見えるかな?ちょっと恥ずかしいんだけどね。」


 しまった。手が勝手に尻尾に向かいそうになってた。うん可愛い。猫も触ったことなくて触りたい欲がやばいなぁ。


「私は脚力とか素早さとか諸々速いんだけど力が弱いの。それに魔法が撃てないデメリットがあるかな。魔力は使えるけどね。」


「すごくかわいいと思う!それに私は外に出られないから日向が近接戦してくれると嬉しい。魔法で私が援護するから!」


 私の魔法で援護しながら日向が倒すとかいいと思う。そんな風に考えていると日向がびっくりした顔をしてた。


「白ちゃん、もう魔法つかえるの!?」

「あ、うん。聖さんに教えてもらって。【闇魔法】」


 私は手の周りに黒い靄を作り出して見せた。


「うわ、ほんとだ……才能あるよ、白ちゃん!なら私の準備もちょうどよかったかな!」

「準備?」


 日向は私に黒いローブをくれた。何だろう……真っ黒というか漆黒かな。


「これは白ちゃんの日差しを防ぐために用意してきたんだ。この前カード見せてくれた時に闇魔法があったからこれが役立つかもって。これを被っているときに闇魔法を使うと気配を消してくれるの。これなら白ちゃんの方に魔物は来ないし、日差しも防げるかなって。」

「もしかして昨日居なかったのって、それを手に入れるため?」

「うん、お父さんに話したらこれ使えって。ちょっと条件付きではあるんだけど……」


 うれしい!でも、条件ていうのが気になる。私がもらってもいいのかな……もしそれで日向が大変な目に合うなら————痛い!


 私が思考の渦から引き戻されると日向が私の頬を両手で叩いていた。


「もう、気にしなくていいの……私は白ちゃんとダンジョンにもぐりたくてこのローブをもらってきたんだから、おとなしくもらいなさい。それに条件は白ちゃんにも手伝ってもらうんだから。」


「私も……?」


「うん、三か月以内にDランクになること。だからこんなことで悩んでる暇ないよ!!」


Dランクって3つうえだよね!?私にできるかな……いや、私も日向とダンジョンにもぐりたい。このローブをもらって頑張る!



後書き

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