第10話 魔法講座

 私は最弱のスライムの攻撃にすら当たらずに殺され死んだ。


「白さん!?まさかまた日向ぼっこしに行ったんですか?」


「そ、そのぅスライムを倒そうと思ったら殺されてしまって。」


 スライムに反射した日光で死んだ事は恥ずかしすぎて隠した。だって【安全領域セーフゾーン】で死んだなんて言えないでしょ。うーん、闇魔法、行ける気がしたんだけどなぁ。


「スライムに、ですか。白さんスキルはどうなってますか?遠距離系があれば教えることくらいなら出来ますよ?」


 そうだ!確かに聖さんは魔法とかで呪いを払うって言ってた。なら、魔法を飛ばす方法を教えてもらおう!


「闇魔法だけ使えます。ただ、手から離れなくて……」


 なんでか手に纏わりついただけになったんだよね。振っても取れないし。


 私が闇魔法と言うと聖さんは少し考え込んだ。そこまで悩む事なんだろうか?だってただの黒いモヤだよ?


「闇魔法は私の使う光魔法と対極にある力なんです。なので正直言って教えられません。すみません!教えるとか言ったのに。」


 わわっそんなに謝らなくても!耳まで下がってすごく落ち込んでる……ん、耳?


 私は目を擦って目を開けると普通の聖さんがいるだけだった。あれぇ?私なんで耳が下がってるなんて思ったんだろう。


「でも、魔法を使うコツなら教えられますよ!」


 ホント!?やった、それなら試行錯誤してなんとかできるよ!


「初心者の皆さんが魔法を使おうとして躓く事として『魔力の使い方がわからない』と言うのがあるんです。」


 魔力?確かにテレビでも『スキルや魔力を得て』とか言ってたな。


「魔法を簡単に言うと魔力を集めて撃ち出すスキルなんです。なので魔力の扱い方がわからないと上手く使えないんです。白さんは手に出す事は出来たみたいなのでセンスありますよ!」


 そ、そうかなぁ。人から褒められるなんて全然ないから照れちゃうよ。そう言う事なら魔力を使えるようになればスライムを倒せる!?


 聖さんは両手で私の手を掴んでくる。なんだろう……あったかい。少しだけ浴びれた日光みたい。


「今、白さんに魔力を流してます。何か感じませんか?」


「手があったかいと思います。思ったんですけどダンジョンの外でも魔力って使えるんですか?」


 私はてっきりダンジョンだけなのかと思ったんだけどな。もしかして外でも日光を浴びれる!?


「アバターは探索者の力をブーストするパワードスーツみたいな物なので少量なら魔力が使えます。もちろん、スキルもです。弱体化しますけどね。」


 なるほどね。あ、でもデメリットはないんだね。もしあったら大変だもの。


「魔力はその人の性質が色濃く出るんです。もし、私の魔力が暖かいならそれは光魔法の影響ね。」


 そうなんだ……って事は私の魔力気持ち悪かったりするの!?


 私がショックを受けていると聖さんの手から暖かい感じが消えた。


「どうですか?魔力の感触覚えましたか?」


「はい!」


「なら、今のうちにダンジョンで試してきたほうがいいですよ。身体が覚えてるうちにやった方が良いですから。」


「はい!行ってきます!」


 私は聖さんにお礼を言ってダンジョンに向かう。


「えっと魔力を出すイメージ……【闇魔法】」


 やっぱり私の手に纏わりつくみたいに出てくる。もしかしたらこれもその人の性質って奴なのかな。


「そうしたら……魔力を操作して……」


 私の魔力はとても冷えていて、それでいて凄く安心する。聖さんの魔力が太陽みたいな暖かさなら、私の魔力は月の夜。


 そんなことを考えているとモヤが私の手から離れて丸い形になった。


 もしかして、月とか思ったから……?


「と、とにかく!撃てるか試さないと。スライムいるかな。」


 探すと少し先に3体スライムがいた。私は気がつかれないように声を殺しながら放つ。


「いけっ」


 私の手から離れた闇の月はゆらゆらとゆっくり飛んでスライムの元まで行った。


 おっそ!声を殺す勢いで速度まで殺しちゃった!?


 スライムの頭上まで到達した魔法はピタッと止まった。なんだろう?私そんなふうにした覚え無いんだけど。


 すると闇の月は急に膨張して3体を飲み込んだ。私の目からはそう見えた。怖くない!?


 魔法が消えた後そこにはきらりと光る石とゼリーの塊みたいなものが落ちてた。うー取れない。


 そんなことを考えていると光の球が私の元までやってきて体の中に入っちゃった!な、なんともないよね。


 私はもう一回同じことをやろうと思って魔法を使ってみる。今度は速く!


「【闇魔法】!」


 すぐにスライムは見つかった。今度は一体だった。しかも何故か銀色。でも、ゼリーっぽいしスライムだよね?


 私はそのスライムめがけて魔法を放った。今度は何故か丸じゃなくて細長くなったけど。


 魔法はスライムに当たる位置に飛んでいった。確実に当たる、そう私は思ったし避けるのは無理な距離だった。なのに魔法は当たらなかった。スライムがぐにゃっと変形して魔法を避けたから。


 あ、気がつかれた。


 私はこっちを見つけたスライムを見た瞬間目の前が真っ白になった。



「白さん!?また死んだんですか!!」


 また私はスライムのソーラービームで死んだらしい。


後書き

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