第9話 サンライズ・デッド
「それじゃあ、また明日!明日は一緒にダンジョン行こ!」
授業の時の様子は私の勘違いだったみたい。もし、悩んでることがあるなら相談してほしかったけど。日向からはこの短い期間にたくさんのものをもらったから、私も何かしてあげたい。
私は一人制服を着替えて動きやすい服装に着替えてギルドの入り口まで来ていた。とはいえ、春先だと言うのに黒い傘を差して長袖長ズボンは目立つ。
日向のおかげで登校する時は大丈夫だったけどまだ人混みは苦手だ。私だけが異物のように感じるから。私はギルドの扉が開いたその瞬間からその考えは吹き飛んだ。
世界が変わったかのような空気を感じたから。例えるなら異世界が一番適切だと思う。
魔法使いみたいなローブを着てる!?甲冑姿の人もいる!自分と同じくらいの大剣を背中に乗せて歩いてる人も!ここだと、私の方が普通に見える。
私が何故ギルドに来たかと言うと聖さんの言っていたように探索者としてのある程度の知識を調べようと思ったから。今日の探索学でも私の知識は他の誰より劣っているのを実感した。
せめて、レベルを上げる方法とスキルを上げる方法を知らないとどうやって強くなれば良いかわからないもの。出来れば今日中にレベルを上げて日向の足手まといだけにはならないようにしたい。
「すみません、資料室とか、ありますか?」
私はたどたどしく受付にいる人に話しかける。私みたいな挙動不審でもちゃんとせつめいしてくれるかな。
「ありますよ、右手の通路を進んで三つ目の扉が資料室です。入るには探索者カードが必要なので忘れずに。」
「はい、ありがとうございます!」
受付の人は親切に教えてくれる。私が今までいた世界とは別みたいに優しい。
えっと、三番目……あった!大きいなぁ。
私は巨人が入るのかと思うくらい大きい扉の前に立ってカードを取り出す。すると扉に私が入れるくらいの光の扉が現れる。
中に入ると資料室とは名ばかりの大図書館になってた。私以外に人気を感じないけど本当に資料室なんだよね?
「凄い……」
私が呆気に取られていると司書さんが話しかけてくる。まるでカフェにいるオーナーみたいに渋いカッコいい老年の男性だった。
「何をお探しで?」
「探索者になりたてでスキルの上げ方を調べに来ました。」
「ならば私が説明した方が早そうですな。魔物を倒すと光の粒子を得られます。それを集めるとレベルアップするのです。それによってスキルを上げることができます。後はご自身の目で確かめると良いかと。」
私はその説明を聞いて司書さんにお礼を言って資料室を出ていく。
すぐに私はゲートの前まで来て平原を選択する。白い光を放つゲートに私は飛び込んだ。
そういえばなんだか資料室と似てる気がするなぁ。
眩しくて目を瞑っていた眼を開ける。そこは【
建物の扉ギリギリまで近づいて私は止まる。
「これより先に行ったらし、死んじゃうんだよね?」
あの時は日光浴に夢中で死んだことにすら気が付かなかったから怖くなかったんだよね……思い切って指だけ出してみよう!
私は指の先だけ外に出してみる。その瞬間、私の指から煙が出てくる。まるで焦がしたパンみたいに真っ白な煙を出してる!
「うわあっ!手が燃えるっ。」
自分の手を確認すると人差し指の先っぽだけ無くなっていた。血は出てないし、痛くもない。それでも指の感覚だけ無くなっている。
「うーん、すぐに死ぬわけではないのかな。昔、お母さんが持ってきたゲームに似てる。部位ごとにHPがあって骨折とか出血とかするんだよね。」
多分、私のこの状態も同じなんだ。頭を出したら消えて死んじゃう。手ならセーフ。足もかな。胴体は……やめとこう、考えたくない。
私が考えてると扉の景色の先に水色のゼリーが跳ねていた。
アレは!絶対にそうだ。日向の言ってたスライムだ!ここからならなんとか狙えるかも?
私は近くにあった石を全力で投げつける。飛んでいった石は私の代わりにスライムに攻撃————する事はなく日向ぼっこを始めた。飛距離3メートル。
周りを見渡して誰も見てないことを確認する。絶対今顔が赤い。だってしょうがないでしょ!?外に出て運動なんてできなかったんだから!
私は改めて自分にできる事はないか考えた。
そうしたらここに初めてきた時日向が透明な板を見ていたことを思い出す。
「そうだ!スキルなら何かできるかも?」
―――――――――――――――――――――
【夜雀 白】
性別:女
種族:吸血鬼(真祖)
レベル:1
スキルポイント:0
スキル
吸血
闇魔法 レベル1
血液操作 レベル1
パッシブスキル
日光耐性 レベル0
銀器耐性 レベル0
―――――――――――――――――――――
まだ下に書いてあるけど今は役に立たなそう。この、闇魔法?って言うのならなんとかなるかも!
私は手を前に出してスキルの名前を叫んだ。
「【闇魔法】!」
身体から何か抜けていく感覚がして、手を見たら黒いモヤが手にくっついてた。これが闇魔法?まだ医師の方がマシな気がする。
「とりあえずとんでけー!」
私はなんとかなると思って叫んだり振り回したりしてみるけど全く手から離れなかった。
手にくっついてるみたい!離れないんだけど!?日向なら分かるのかなー!助けてー!
もたついてる間にスライムがこっちに気がついた。とはいえ、スライムは最弱。初心者でも踏みつけさえすれば倒せるくらいに弱い。白でなければ。
「アッ」
スライムが跳ねた瞬間、その丸みを帯びた身体に日光が反射しピンポイントで白の頭を撃ち抜くのだった。
後書き
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