第38話「ギルドへ報告②」
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…………。
当然の様にいかがわしい所へ行く事も無く、ギルド内で審議官の帰りを待っていた唯臣達。
折角、ギルド内は飲んだくれ共が溢れる酒場の側面もあるのだ。
少し飲み物を飲むことにした。
「唯臣ぃ。
あんたコーヒー牛乳て、甘々のおこちゃまやんかぁ。
がたいええんやし、酒ぇ、ちょっとくらい飲んでもバレへんっちゅーねん。」
顔の3倍程あるビールのジョッキを飲むアルメイヤ。
唯臣は、温かいコーヒー牛乳を二つ。
1つをアルモナに渡す。
アルモナは、マグカップを両手で大事そうに持って、”ふーっふーっ”と吹きかける。
そして一口。
「……温かい。」
アルモナは満足そうな顔をしている。
しばらくコーヒー牛乳の甘いひと時を過ごしていると……。
「唯臣!
審議官が帰って来たわ!」
フレイアに呼びかけられたので、受付へ戻った。
「はい。じゃあ行くね。
審議官によると、ルジオンの森、確かに新しい未開ダンジョンが発生していました。
しかもそれは既に踏破済み。
そして、これがそのダンジョンコアで、踏破者は唯臣・矢倉・ソンギブ。
全て真実であることが認められました。」
フレイアはここまで淡々と言う。
「……凄いよ。
凄い凄い……。
唯臣!!
本当に凄い!!
未開ダンジョン踏破なんて!!!
しかも、Fランクの冒険者がなんて前代未聞!!
冒険者ギルドの歴史でだって一度もないわ!!」
我慢できずに感動が溢れて決壊するフレイア。
喜びに任せて飛び跳ねるのでそれに合わせて”バインバイン”している。
「まぁ、唯臣やったらそら余裕のよっちゃんよぉ。
ほんでフレイアちゃん、踏破したらどうなんの?」
「そ、そうね!
唯臣は、未開ダンジョン踏破の結果、2階級特進します!
Fランクから、Dランクへ昇格です!!」
”パチパチ”と拍手をしながら言うフレイア。
[唯臣は、冒険者ランクDになった。]
「Dランクになると、依頼は一つ上のCランクまで受ける事が出来る様になるわ。
それと、Dランクになると隣国のギルドの依頼も受注が可能になるのよ。
ミグニクトの隣国。
つまり、レナシー共和国とファードナルの2国になるわね。
まぁ、情勢的にはレナシー共和国のみと言うのが正しいかな。」
フレイアは教える。
「ふーん。
隣国の依頼は受けたらどうなんの?
自国のよりポイントの割がええとかそう言う事?」
アルメイヤが尋ねる。
「えっとねぇ。
ポイントの割もいいんだけど、ポイントって言うのがね、国ごとにギルドが保有している形を取っているのね。
例えばミグニクトの冒険者ギルドは、現在ちょうど約100万ポイントくらいかな。
それを依頼達成した冒険者たちに付与して、使っていくのよ。
そして、その国と冒険者が持つ総ポイント数が、その国の冒険者ギルドの強さの指標となるってわけ。
でね。他国の冒険者ギルドからの依頼をこなすとポイントは他国からもうらうわけだから、実質、自国へポイントを持ってくることになるのよ。」
フレイアは頬に指を突きながら続けた。
「それと、ダンジョンの踏破数も国ごとに競っているの。
だから今回、唯臣が未開ダンジョンを踏破したことは、ミグニクトの冒険者ギルドにとってかなり価値のある事なのよ。」
フレイアは言う。
「……なんかむつかしいなぁ。
そうする意味はなんなん?」
「そうする意味はねぇ……、戦争よ。」
厳かに言うフレイア。
「あ~、そういうことかいな。
いつの時代も人間はすっきゃなぁ。」
「今は大戦国時代だからねぇ……。
軍……、うちだったら騎士団か。
それ以外にも比較対象されるもの必要になっちゃうのよ。
その分ポイントの競い合いなら実質的な血が流れる事は無いしね。」
フレイアは言った。
「とにかく、唯臣は、これからはDランク冒険者よ!
積極的に他国の依頼もこなして行かなきゃね!
頑張ろうね!」
笑顔で言うフレイア。
唯臣は、冒険者になって、一か月もしないうちにあっという間にDランク冒険者まで駆け上がったのだった。
…………。
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