第23話「ギルドの採取クエスト①」
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グライム家から帰った日。
少しの気苦労があった。
それは呪いのストラトキャスターをどのように持って帰るかだ。
馬車では、アルモナに荷台で持ってもらうとして、問題は屋敷に入る時。
オルフィーはいつも唯臣が玄関の扉を開けると、飛んで来る。
そして、靴を脱がせたり、上着や荷物を持とうとしたり、かいがいしく世話をしようとしてくるのだ。
もし、ギターを新しく持って帰って来たことがバレてしまったら、どうなるのか想像もつかない。
一先ず、玄関付近に隠しておいて、オルフィーのお世話が終わった後に取りに行くか……。
若しくは、オルフィーが来る前に全力で自室までダッシュするか……。
ただ、運の良さ2621の唯臣には、結果的に何の心配もする必要はなかった。
”ガチャリ”
玄関を開けても、オルフィーは飛んでこなかった。
早急に自室に戻り、ギターを置いた。
そして、そのまま、リビングに向かった。
「おぉ!
唯臣!お帰り!」
リビングにいたリーヘンが唯臣を見つけ声をかけた。
「大変なんじゃ。
オルフィーが体調を崩してしまっていてな。
今は部屋で眠っておる……。」
眉をㇵの字にして言うリーヘン。
現在ブオンバプのいくつかの地域で蔓延している流行り病らしい。
症状は現実世界で言う所のインフルエンザに近い様だ。
いつも元気なオルフィーが病にかかるとは……。
唯臣はオルフィーの様子を見に部屋にいった。
オルフィーの部屋は、ピンクで色んなものにフリルが付いた様な、女の子女の子している部屋。
もちろんかなりの広さだ。
一番奥に設置されている天井衣が付いた可愛いベットに向かう。
優しいピンクのカーテンが下ろされたベットでオルフィーは寝ていた。
カーテンをそっと開けてみると、オルフィーが沢山汗をかいて寝ている。
寝苦しいのか、苦い顔をしていた。
唯臣は汗をぬぐい見つめる。
少し楽そうな顔になる。
この時、唯臣は、いつも自分の為に尽くしてくれるおねぇちゃんに何かしてあげたいと強く思った。
「そうじゃ。
この流行り病には、キアリ草という薬草が良く聞くそうじゃ。」
別に韻を踏んだわけじゃぁないと言いながら説明するリーヘン。
リビングに戻った時リーヘンに聞いたのは、キアリ草の話。
それはブオンバプの街をでて、少し馬車を走らせた所にあるルジオンの森に群生しているそうだ。
もう夜で、森に入った所で何も見えないだろうし、採取にはギルドの許可とのこと。
唯臣は、明日キアリ草を取って来ることを決意した。
…………。
……。
ギルドの受付には、いつものようにフレイアが”グテン”となって応対していた。
「あっ!
唯臣おはー!!
今日ははやいねぇ!」
フレイアは唯臣を見つけて目をキラキラさせている。
唯臣は会釈する。
そして、キアリ草の採取クエストがしたいという事を告げた。
「採取クエストね。
いいと思うわ。
前回超成功を出したとは言え、2日目のクエストだしね。
採取クエストは初心者向きだからね。
ルジオンの森なら魔物もそこまで強くないし。
でも、唯臣からしたいクエストを言うって何かあったの?」
唯臣は、オルフィーの容態について話した。
「あらぁ、お姉ちゃんぶっ倒れてるのね。
あんなに面の皮は厚いのに、病への耐性薄いのかしらね……。」
失礼な事を言うフレイア。
唯臣を巡って、フレイアとオルフィーは常に”バチバチ”としていた
「冗談よ。
あぁいう女がいないと張り合いもないしね。
薬草を取って早く元気にしてあげて!
キアリ草は葉っぱがとげとげしている形のものよ。
良い品質のものほど、効果が強いからね。
頑張って沢山取って来てね!」
フレイアは笑顔で唯臣を送り出した。
[唯臣は、
採取クエスト~キアリ草を摘め~
を受注した。]
…………。
……。
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