第11話~アーシャ~
「エンディどういう事!?ここには結界が張られていて、どんな種族も通さない鉄壁なバリアだって、そうホワイトが言ってたじゃない!」
ナミは突如目の前に現れた、その巨大な生命体の眼球にあたふたとしながら、傍に居るエンディに向かって文句を言いました。
「そんな事こっちが聞きたいよ。ただひとつわかるのは、このアーシャは汚染された星でもへっちゃらな特殊存在だって事だけさ」
「特殊なのは見た目からそうなんだから、あたしにだってわかるわよ!あー困ったなぁ……ホワイトはぜんっぜん戻って来ないし、エンディ早く何とかしてよ!あなたが連れてきたんでしょ!!」
「すぐそうやって押し付けるのがナミの悪い癖だぞ!!まぁ……わかったよ、ちょっと外で話をしてくる」
エンディは膨れっ面で、ナミを相棒ならではの眼(まなこ)で睨みつけると、外へと出ていったのでした。
*
実験室という工房の荒ら屋の外には、沢山の樹木が生い茂っていて、その緑色の背景の中にアーシャは真っ白く重厚な羽を携えながら、真っ白のドレスに身を包み、宙に浮かんで存在していました。
「来ちゃった♪」
長い髪をたゆらせながら、笑顔で小首を傾げてみせるアーシャの姿を見上げながら、エンディは右手で困った様に、無造作に髪を掻きむしりました。
「申し訳ないんだけど、リゲルに戻ってくれない?」
「どうして?契約がまだ途中でしょ?」
無邪気にコロコロと笑うアーシャの姿に、途方に暮れた表情を浮かべながら、エンディは言葉を続けましした。
「リゲルが友好的な星なのは有難いんだけど、ペテルギウスにリゲル人が訪問なんて事が知れたら、更に火種になってしまう。それにリゲル人がそこまで
大きい……いや、ビッグで変身までする存在だって知らなかったから、驚いちゃったんだ……こ、怖かったわけじゃないんだよ?」
「大丈夫、わかっているわ。リゲルの技術や様々ははとても最先端で、とても美しいものだもの。仕方ないわ」
「さすが有名なナルシストの星……いや、何でもない。。じゃあわかってくれたんだね?じゃあ改めて契約の続きをしたら?すぐにリゲルに戻ってくれる?」
「その前に、まずは契約者のメッセージを持ってきたから、それを見て欲しいの」
「契約者?契約はアーシャでしょ?星の中で1番の”ちから”を持っていたのは、アーシャのはずだよ?」
「リゲルは、ちからと地位は比例しない星なの、だから」
「そんな珍しい星があるんだね。オリオンの勉強がまだまだ俺は足りてないな。。それで?」
「えぇ。ここからはリゲルのトップ技術者からの個人的な契約依頼なのと、極秘が条件なの」
「またまた極秘かぁ……いや、こっちの話。まぁそういう事なら少し話が見えてきたし、もうこの際それで構わないよ?じゃあ契約条件の内容を話してみて?」
「えぇ、メッセージの箱を預かってきてるの。これを開いてみて?その技術者からのメッセージが流れるから」
「なるほど……了解」
エンディはアーシャから受け取ったその小さな箱を、手のひらに載せるとスイッチを探し始めました。しかしそれに見合う様な物は、そこにはありません。その様子を可笑しそうに微笑みながら見つめていたアーシャは、ウインクをひとつしてみせました。
「心づもりは出来たかしら?じゃあ映像が流れるから、目の前を見ていてね?」
アーシャはそう言うや否や、自らの大きな白い羽を大きく羽ばたかせ始めました。
「うわぁ~~」
エンディの顔を、巻き起こった風が優しく包み込むと、今度は羽からこぼれ落ちた、小さな白い羽達ががふわふわと箱の上に降り注ぎ始めました。
そしてその羽を背景にして、空間の中に人の上半身の姿が徐々に現れ始めました。
「へぇ~~、このリゲル人、身体が青色なんだね」
目の前の、どちらかというとホワイトの白い肌に似たアーシャの肌色と見比べながら、エンディが不思議そうにしていると、メッセージ映像の中のその青色な人物が話し始めました。
「初めまして、俺はヤマト。少し頼みたい事がある」
ナミ~ルナ太陽系編~ 豊 海人 @kaitoyutaka
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ナミ~ルナ太陽系編~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます