学生時代や幼少期のふとした感情を思い出す経験、誰にでもあるかと思います。
学生である語り手にもそれは起こり、ここまではあるあるなのですが、その後でも埋まらない空白として引き摺っていることが、この掌編の軸として美しく作用しています。
黒髪長髪の理由付けがあまり見るものではなく、それ故に語り手の空白に結びつき、対比の表し方になるほどなあと膝を打ちました。
長髪関係なくシンプルに面白く、色々と考えるところのある掌編です。読後にこうやって思案することになる小説は本当にいい小説だと、私は思います。
そしてこの思案にも名前はないのだ。
たいへん面白かったです、ありがとうございました!