第8話 ⭐診療所⭐

島の診療所はとても静かだ。

何やら似たようなドラマが人間の世界には存在するというのを聞いた事はあるが。


ここはホントに普通の診療所だ。

『にゃ~~』

『おー、チビコロ!久しぶりだなぁー』

ボクのここでの名前は(チビコロ)。


もっとボクが小さい頃、急に雨が降ってきてビチョ濡れになってしまったんだ。

お髭先生と出会った日だ。


『おぉー、チビコロ、雨で濡れちまったかぁ。』

と往診の帰りに見つけてくれた。

お髭先生も雨に濡れてたのに、ボクの体を先に拭いて暖めてくれたんだ。

とーっても優しいお髭先生の事も大好きだ。


お髭先生は診療所の横にお家があるんだ。

たまーに、広げてある新聞紙で遊んでしまってお部屋を散らかしてしまうんだけど。


『にゃ~ん。』

『チビコロ、どうした?お腹空いてるか?』


(ボクは少しお腹が空いていた。)

『ご飯一緒に食べるか?ちょうど今から食べようと思ってたとこだから。』


お髭先生は、生物を食べない。

ボクも食べないから一緒だ。

もしも生物を食べてお腹を壊したりしたら、急に患者さんが来たときに困るから食べないんだって。

必ずお箸の先で火がしっかり焼けているか確認しながら食べるんだ。


だから、ご飯は少しずつチビチビと食べる。

お髭先生は、生のシャケを焼いてくれた。

(いー匂いがするー!!)

お髭先生はボクの分のお魚もちゃんと焼けているか確認しながら少しずつ紙の上にお魚を置いてくれる。

ペロペロッ。

『そうか、うまいかぁ!熱いから気を付けるんだよ。』

ペロペロ。

(ちゃんと、小さくしてくれるから食べやすい!)


ご飯を食べたら眠くなってきた。

お髭先生は新聞を読み始めたので、ボクはその横にあるクッションにふわんとのって毛繕いをする。

お口の周りもキレイにして。。。


ボクはクッションに顔を埋めてしばらく眠る事にした。


『カシャッ』

ボクのお昼寝の様子をお髭先生が写真に撮っている。

(んもー、邪魔しないで下さい。)


ボクは曲がったシッポをめんどくさそうに何度か降って眠った。

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