第7話 ⭐黒田さん⭐

ボクはそのまま、結ちゃんの部屋で朝を迎えた。

結ちゃんは何もなかったかのように、朝ごはんを食べて学校へ出かけて行った。


(大丈夫かな、結ちゃん。)

また、夕方来るからね。ボクは巡回に出かけるとするか!



瑠璃さんの家の塀を越えて、草むらを少し歩くと黒田さんのお家に着く。

黒田さんの家にはボクの苦手なイヌがいるんだ。いつもお部屋の中にいて、朝と夕方に首輪に紐をつけられてお散歩をしている。

『コロー、散歩さ行くぞ!』


『おろっ、しっぽ!お前も一緒に散歩いくかい??』

黒田のおじさんはボクの背中を撫でながら言った。


ここでのボクの名前は(しっぽ)。

特徴のあるしっぽだからね。

『にゃん。』

(ボクは自由に散歩をしてるから、大丈夫だよ!)


コロは柴犬という種類らしい。

吠えないし、優しいイヌだ。ただ、ボクより大きいから、ちょっとだけ怖い。



コロと黒田のおじさんが散歩に行ったあと、庭先に回ると、おばさんが洗濯物を干していた。

『にゃぁ~。』

ボクは朝の挨拶をする。

『あら、しっぽ。おはよう!朝ごはん食べていくかい?』

『にゃぁーーん。』

『そかそか!ちょっと待っててね!』

黒田のおばさんが、お皿にカラカラとご飯を入れて目の前に置いてくれた。

(あ、カリカリだ!!!)


『どう、美味しいかい?コロのカリカリと一緒にみっちゃんのお店で頼んで買えるようにしてもらったんだよ!』

(美味しい!)

(やっぱりカリカリは最高だ!)

また洗濯物を干し始めた黒田のおばさんは、笑顔でボクがカリカリを食べているところを見ている。

奥さんは、イヌも猫の事も大好きなんだって!


コロの散歩が終わって帰って来るまで、しばらくボクは黒田のおばさんに遊んで貰った。

悔しいんだよなぁー、あのネコじゃらしってやつ。

人間が動かしてるだけだってわかってるんだけど。

何でか、追っかけてしまうんだよなぁ。

狙いを定めてジャンプしちゃうんだ。

時々着地に失敗してコロリンってなっちゃうんだけど、黒田のおばさんはニコニコしながらずーっとやってくるんだ。

『アハハハ!』

って楽しそうに喜んでくれるから、ついついボクも本気になってしまうんだけど。



ハァハァハァ。

コロが、舌を出して、疲れ果てた様子で散歩から帰ってきた。

『にゃーーん!』

(おかえりなさい!コロ!)

『バウッ』

(地面が冷たいから急いで帰ってきたんだけど、クタクタだわ。)

コロは足の裏を拭いてもらって、また家の中に入っていった。

(また来るよ、コロ。)

ボクはまた巡回の続きに出発した。

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