第6話 ⭐結ちゃん⭐
今夜も寒いなぁ。。。
この小さな島は灯りが少ないので、見上げると夜空から星がふってきそうなほど綺麗に見える。
冷たい道をを歩いていると、少し暖かい気配を感じた。
あ、瑠璃さんのお家のガレージだ!
ガレージには、勇二さんの車が止まっている。
まだ、エンジンを切って間がないようだ。
(よし、しばらくはこの下に居よう。)
ボクは体を低くして、車の下に潜り込んだ。
(ん、やっぱり暖かい。。。)
(だれか。。助けて。。。)
(ん?何か聞こえる!)
ボクはそーっと車の下から顔を出して見た。
(誰か、助けて!)
結ちゃんの心の声だ!
ボクは結ちゃんの部屋の窓の外にそっと飛び乗った。
薄暗い部屋のカーテンの隙間から中を覗いてみる。
(やめて!パパ!やめて!!)
『にゃーーん!』
ボクは結ちゃんを助けてあげたくて、勇気を出して鳴いてみた。
(だめだ。ボクの声は届かない!)
『にゃーーん!』
(結ちゃんからのSOSの声はしばらくボクに聞こえてきていた。)
『にゃん!にゃ~ん!!!』
よくわからないけれど、やめてあげて!
ボクの大好きな結ちゃんが困ってるから!
やめてあげて!!
そして結ちゃんからのSOSの声は聞こえなくなった。
でも、結ちゃんが泣いている。
カーテンの隙間から覗いてみると、制服姿のままの結ちゃんが、ベッドの上に座って泣いていた。
『にゃぁ。にゃ~!』
ボクは必死で結ちゃんを呼んだんだ!
そしたら、結ちゃんがボクに気づいて窓を開けて、中にいれてくれた。
ボクはベッドに飛び乗って結ちゃんの顔を見た。
結ちゃんは泣きながらボクの頭を撫でてくれる。
(オッド。怖かったよぉ。オッド。)
心の中で結ちゃんはずーっと呟いていた。
ハッとした。
その時、ボクには結ちゃんの記憶が見えてしまった。
結ちゃんは必死で抵抗したのに、パパは制服のスカートを乱暴にめくって、結ちゃんの体をいっぱい触ったんだ。
『お母さんに言ったら許さないからな!』
と、パパに言われて、結ちゃんは怖くて声も出せなかったんだ。
ボクは、結ちゃんの膝の上に座って丸くなった。結ちゃんはボクの体を優しく優しく撫でてくれるんだけど、その手はずーっと震えている。
『にゃあ。。。』
(ねえ、結ちゃん。ボクは結ちゃんをどうすれば助けてあげられる?)
残念ながら結ちゃんにボクの言葉は通じなくて、ボクには結ちゃんの震える手をペロペロとなめてあげる事しかできないや。
結ちゃん、もう泣かないで。
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