第5話 ⭐スーパーのみっちゃん⭐

この島で唯一のスーパーマーケット。

といっても、島の小さな商店だ。


ボクのここでの名前は(カギちゃん)。

『あらー、あんたのしっぽはくりんとなってて、カギしっぽだなー。じゃぁ、かぎちゃんかぁ!』

と、初めて巡回で通った時に言われた。

店長はみっちゃん。

いつも笑顔で、みんなが頼りにしている店長だ!


『みっちゃん、あれあるかい?』

『なぁに?これかい?』

『んにゃー、違う違う!あれだよぉ!』

(吉田のばーちゃん、"あれ"だけではさすがのみっちゃんでもわからないよ。)

ボクはしばらく二人の会話を聞いていた。

『あれっつってもなー!』

『あのぉー、ほれ、いつもの洗剤だ!』

『あーあんたとこはいつもこれだ!』

『あー、そうそう、この青いやつ!』

こんな会話が毎日のように繰り広げられる。


ここは島の唯一のスーパーだから、品揃えはすごい。お菓子にお酒、ジュース、おつまみ。洗剤など、その他の生活雑貨が揃う。

みっちゃんは、お店のどこに何があるのか全て覚えてるんだ。


1週間に1回、船で商品が運ばれてくると、少し品物が増える。

菓子パンや、生菓子にお肉、ハムやお豆腐。

菓子パンや生菓子のほとんどが、すぐに売れてしまう。

そして、ボク達が貰える、猫の缶詰めやチュールや煮干しやカリカリも、1週間に1回の船で届けられるんだ。

船が来た日のみっちゃんは、とても忙しいのでボクは何日かして巡回で通るようにしてるんだ。


お店の扉はよほど寒い時以外、いつも開いている。

ボクが巡回で前を通ると、

『あれ、カギちゃん。散歩かい?』

『にゃぁ~』

『あー、ほーかい。煮干しでも食べてくかい?』

(んー、煮干しかぁ。まぁ1口もらおうか。)


『ほれっ、お食べ!』

みっちゃんは煮干しを3つくれた。

(なんかちと固いなぁ。。。)


煮干しを食べていると、みっちゃんが言った。

『カギちゃんは幸せを呼ぶしっぽたべな。幸せになるど。』

とみっちゃんは笑顔で言った。

(幸せを呼ぶー?ボクはそんな魔法みたいな事ができるのー?)

ボクは少し嬉しくなって、しっぽをフリフリしながら巡回の続きに出発した。

『カギちゃん。またおいでー』

『にゃ~ん。』

みっちゃんにお礼をいって、ボクは歩き出した。


ボクにはみっちゃんの心の中が見えてしまった。

(いつまでこのお店開けてられるかなぁ。)

みっちゃん、頑張って続けていこうよ!じゃないと、島の人がお買い物できなくなるよ!

吉田のばーちゃんも困ってしまう。

ボクには関係ないんだけど。

(あ、関係あるか。"チュール"だけは食べれなくなると困るな。)

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