後悔した昼飯

とらまる

後悔した昼飯

疲れた


今日は午前中から引っ切りなしに書類が回ってくる

正月明けだから仕方がないのだろうけど

もうトイレへ行く暇も無いのかよ


まぁ年末年始はのんびり過ごせたから良し、とするか


13時半を過ぎてようやく午前中の仕事が片付いた

これは午後も忙しくなりそうだから

肉でも食ってスタミナつけるか


経理部に勤める大畑英二はそうつぶやきながら

テレビ番組の「孤独のグルメ」を思い浮かべながら

街中を歩き始めた


チェーン店が並ぶ繁華街

その裏に良い店ってあるんだよなぁ


中華料理・・・

洋食・・・

タイ料理・・・


おっ、この半分喫茶店みたいな造りのお店

ランチで定食が全て500円だって?


これはいい

ワンコインで昼飯食えるなんて、お財布に優しいじゃないか

ちょっと古そうだけど

こういう町喫茶みたいな飯って美味い物を出す所、多い


よし、ここに決めた!


おもむろに店のドアを開ける

店内は満杯

ほとんどがサラリーマンのようだ


そりゃそうだよな

都内でワンコインランチ食える店って希少だもんな


案内されてカウンター席に座る


新型コロナ対策で席はパーティションで区切られている



「ご注文は何にしましょうか?」


若い男性店員がお水を置いて尋ねてきた


「生姜焼き定食ひとつ」


「生姜焼き定食でよろしいんですね」


「はい」


「生姜焼き定食で、よろしいんですね」


「あっ、は、はい・・・」


聞き取れなかったのかな?

もしかしたら外国の人なのかな?

まぁ、いいや

分かったみたいだし


さぁ、午後に向けて肉、食うぞ!




「お待たせしました。生姜焼き定食です」


大盛りのご飯に、ワカメのお味噌汁

付け合わせにきんぴらごぼう

そしてキャベツの千切りの横に

焼かれた丸々とした大きな生姜が2つ並んでいた




大畑は後悔した



『豚肉の』を言わなかった・・・・・・


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

後悔した昼飯 とらまる @major77

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ