第03通 人懐っこい美少女後輩からの手紙
高校の放課後。下校時。なぜか懐いている後輩を家まで送り届けたあと、一人で自宅に帰りカバンを開けると手紙が入っていた――――
“じゃじゃ~ん! いつの間に手紙なんて入れたんだって驚きました? えへへ、一緒に帰ってるときに隙を見てスッと先輩のカバンの中に入れちゃいました。こうして読んでくれているってことは、家に着くまで気付かなかったんですね。よかったぁ~。私のいる前で読まれたりしたら流石に恥ずかしすぎて死んじゃいそうですからっ!
えっと、先輩覚えてますか? 私が入学してきたばかりの頃です。私、上手くクラスの子達と馴染めなくて、友達作りに失敗してました。ぼっち街道まっしぐらな私が一人で放課後学校に残ってたら、そこに先輩がやって来て、いきなり「お前入学そうそうぼっちか?」なんて言ってきたんです。そのとき私「なんてデリカシーのない人なんだろう」って思っちゃいましたけど、何か流れで先輩に友達作れない悩みを相談してましたよね。そしたら先輩が「今から俺が友達な? はい、友達出来ない悩み解決」とか言って、ホント笑っちゃいましたよ。でも、先輩のお陰で私今では沢山友達が出来たんですよ。
それで、ある日気付いたんです。沢山出来た友達の中で、先輩だけは何かが皆と違うって。皆同じ『友達』っていう括りなのに、先輩はその中でも特別……というか。じゃあ『親友』かな? なんて思ったんですけど、それもちょっと違う。私が先輩に感じているこの気持ちって友情なのかなって疑問になりました。先輩と一緒にいると胸がドキドキするし、ちょっぴり顔も熱くなる。学校で先輩を見掛けたら自然と目で追って……でも、最近は直接会うとまともに目を合わせられなくなりました。
私の中で先輩が『友達』じゃなくなってしまったんです。
最初に出来た友達が先輩です。そんな先輩が友達じゃなくなるのは凄く寂しい。でも、もし友達や親友を越えた先の関係になれるとしたら、嬉しい。
だから、ごめんなさい先輩。私はもう先輩を友達として見られません。先輩を思うこの気持ちに嘘は付けません。
先輩は私を手の掛かる後輩としか思っていないかもしれない。それとも年下の友達としか思ってないかもしれない。それでも、私が先輩に対して抱くこの気持ちは『好き』だと思います。『like』ではなく『love』の方。
お願い、先輩。
あの日、先輩が私の初めての友達になってくれたように、今度も私の初めての恋人になってくれませんか?”
君に送るラブレター 水瓶シロン @Ryokusen
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