「無名の画家」

「はぁ」

届いた小説を1度絵の具で汚れたテーブルに置く

「ちょっとルネ!このお話はどういうつもり!?」

「な、何だよリュリー」

「だって!君がこのお話は君を主人公にしてみたんだ!って渡してきたからでしょ!」

「それがどうしたの?」

「だってこれじゃあ...」

「これじゃあ?」

「私が!ただの可哀想な奴じゃない!」

「実際そうだろ」

「君...私より上の立場だからってどういうつもりよ!」

「でも、気づいただろ?君に必要なものそれに怒ってるってことは...もしかして図星?」

「っ!まぁそうだけれど...とにかく出ていって!」

「あれ?僕のことも数少ない弟子のように追い出すのかい?」

「うるっさいわね!とっとと行きなさい!」

ルネはハイハイ、と面倒くさそうに私のアトリエからでていった

「はぁ...私に必要なものねぇ」

確かにこの主人公に心当たりはあるしルネの言ってることは正論だ。

画家は、大衆に見られてこそ作品を生み出したと、私は思う、だけどもしかしたら大衆に見られなくても、たった1人でも見てくれたらそれは立派な「作品」なのかもしれない、この世に数に埋もれて化石となりアトリエの奥に飾られている絵は何万とあるだろう、ただその絵を誰かが忘れない限り、誰かが掘り出してくれる限りそれは芸術として残り続けるのかもしれない。

「...」

明るい絵を、描いてみようか

エトワールも笑顔になるような。










無名の画家が見つけたものは

















価値では測れないただ1つのエトワール、《星》だった。

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エトワールと無名画家 京司 @kyouzi2525

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