第9話 俺と新たなる道

なんで死んだ場所にいるんだ、さっきまで学校の前だったはずなのに。


俺はかなり動揺していた。すぐさま周りを見渡し、状況を理解しようとしたが俺には状況を飲み込めなかった。


「あれは.........俺だ」


あの日俺は学校から帰っている途中に交通事故に遭った。ここで俺は二つの仮説を立てた。


まず一つ目、あの俺は交通事故に遭わずに死ななかった俺。


そして二つ目、これから交通事故に遭う俺。


どっちかなんて予想できない。どっちにも可能性があるからだ。もしこれから交通事故に遭う俺なら助けてやりたい.......だが俺は幽霊だ。


・・・いや、幽霊なのか?

そもそも幽霊だって確証がない。

ここに来るまでは確実に幽霊だった。壁や人に触れられないし、声をかけても返事がない。


分からないことだらけだ。


・・・・・・どうする。


その瞬間、女性の悲鳴のような声が聞こえた。


「おい!轢かれるぞ!!」


「くっそ!!!!」

この一言を後に俺は考えるのをやめた。


俺が向かうより車が走る方が早かった。

だが何故だろう、昔の俺を押して助けられた。


反射的に動いたのが良かったのか、はたまた

火事場の馬鹿力なのか、それぐらい俺は必死だった。


あっぶな!ギリギリだった。まさか昔の俺だったとは、でも助けれたし良かった。


それにしてもあまりにも不可解だったか......

周りにいたみんな理解出来てない様子だけど。


「.......ん?あの女の子こっち見てるような?」


そんなことを言っていたら体に激痛が走った。


「.....あがっ!がは!!」


「おい!お前!!この時の自分に関与するな!!!契約違反だろうが!」


「は!?聞いてねえよ!」

「ん?........何かがおかしいな。お前見たことない顔だ」

「はぁ?」

「............お前!思い出したぞ!最近神々の間で話題に出てるあの!」

「何を言ってるんだ?てかお前神なのか」


「ということで結論が出た。普通なら契約違反をしたやつは即座に始末するんだが、お前は特別だ。チャンスをやろう」

「おい!質問に答えろ」

「うるっさいなぁ仕方ないから説明してあげる」


「普通、死んだら神の所に行って夢を叶えるまで昔の世界に戻って新しく生きるか、そのまま死後の世界に行くかの二択なんだよ。その新しく生きかえらせる条件として契約をするんだ」


「それがこの時の自分に関与しない....か」


「そうだ、それをお前は知らずに関与してしまった、だがそもそも神の所まで来ていなかった。だから特別にチャンスをやろうと言っているのだ」


「で?そのチャンスとやらはなんだ?」

「今この時間軸には死んだ人間が新しく生きている。自分の夢を叶えるためにな。」


「それを手伝ってくれと?」


「そうなんだが......夢というものにも色々あってな」

「ん?なんだ」

「いや.....直接聞いてくれ。私でもこれは叶え方が分からん」


なんなんだ?


「それとお前を一時的にこの世界に生き返らそう。その方が便利だ、いつでも脳に声を届けられるからな」


「それはこっちとしても助かる」


「ちなみにだが夢を叶え終わったらその子もお前も一旦神の所に来るようにしてある。その後は死後の世界だ」

「まあ話を聞く限りそうだろうな」


「で?その子っていうのは?」

「まあとりあえずこの時のお前に意識を持っていくぞ」

「.......ああ」

「それっ!」

「・・・お、ほんとに来た。って!誰なんだよその子って!」


「急かすなよ。いるだろそこに」

え?

「ほらそこ!黒髪ロングで制服を着ていて、

明らかに注目の的なお前を見ずに歩いていったあの子」

「あの子?」

「そうあの子!」


「おーい!待って。あっすいません」


くっそ...人が多すぎる。


「すいません学校に行かないと」

「おーい!」


「・・・私....ですか?」

「そう私」

「なんの用でしょう?」

「君の.....夢は?」

「そうですか....あなたが神様の言っていた...」

「そう、それで君の夢は?」


「私の叶えたい夢は....」

「うん」


「恋をすること.....です」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


あとがきです。


まどうふでございます。

全く違うストーリーに変更しましたが完結出来て良かったです。

これにて恋愛を見届けたい俺にとって、幽霊になるのはご褒美です。は終了です。

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恋愛を見届けたい俺にとって、幽霊になるのはご褒美です。 まどうふ @Madoohu

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