116 空の渚で待ちぼうけ・・・
2024年2月9日
とうとう空師さんが高空へと還られた
でもそれはつかの間のこと
またこの荒れ山の巡回にお戻りのはず
だってヘタレ姥から目を離したが最後、海月山はたちまち元の原野と化す
いや、とうにそちこち手をこまねくさま──
私の脚痛が今もはかばかしくないからは、さらに春から加速するばかりだし
それでも海風が吹き上げるサイトの河津桜も、ずいぶん枝を張り花房も増やした
あんなにていねいな刈り原にして下さってた空師さんだもの、
「なんで山を俺なみに手入れできんのか」と虚空からヘタレ姥に舌打ち、
きっとやきもきなさるに決まってる
それだけ空師さんは毎春秋、この荒れ山の整備まで御尽力下さってた
だけどしばらくは、幽明境からも解き放たれた歓びに、
自在に星間へまでも遠出なさりたいだろう・・・
今日、私はぶざまに泣きわめいた
こんな空に近い山頂のポツン暮らしだから、誰にもはばからず大泣きできた
そしたらよくボロロプレハブ傍へ潜む鹿が、つられて鳴き交わしだした
あいつ、まだ生きてるんだな
今冬は猟師の鉄砲音がわずか5発しか聴こえてない──
一進一退な海月山開拓以来の、頼もしい戦友だった空師さん
今やとっとと退役したほうが早い、老ポンコツ負傷兵たる私
この荒れ山の上の空と下
まなざしの交錯はもしかしたらもう決して望めないんだろか──
ならばせめて山神として天空から海月山を守護させよう、魂胆となった
もう実際の手助けは望めなくなった同志ならって
クタバリゾコナイ兵、実はサバイバルに血眼なんだも~ん
とりあえず今日から空の渚で、空師さんを待ちぼうけすることにする
──なんてクールを、いつまで気取ってられるんだか
一年以上に及んだブログ放置は、空師さんの入院に心痛したのがきっかけだった
そんな豆腐メンタルをなんとか崩さずいようと始めたカクヨムも効果薄
当分は待ちぼうけ作戦で行ってみるかしか……、思いつけなかった…今日
海月山に花の降る 海月 @medusaion
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。海月山に花の降るの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます