六話
私は砂山にいた。砂にまみれて寝転がっているが気づいている。
これは夢なんだろう、別に焦ることはない、夢なんだから。
手足が軽く沈み、少しずつ下にずり落ちる。
手が伸びる。
足が上がる。
気が付くと落ちまいとしている。
以前から気に掛けていた3本目の腕も今回は使っている。
そのうちに落ちるのがゆっくりと止まり、手足の動きによって私は砂山を登り始めた。
最初は見上げていた空と砂との境界が少しずつ下がり、自分が少しずつ登っていることを実感する。
山の頂点3本目の腕が掛かった。
体を引き上げるとようやく山を登り切る。
少しの間深く呼吸をして、頬を撫でる風の方向を見渡す。
壮観であった。
植物に覆われた山、花の丘、岩だらけの山。
見る限り大小様々な起伏が確かな迫力と美しさを持ってそこにあった。
きっと次は、私は。
砂山 碧月 @aomoon
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