81~90 読書感想文

「君と薔薇と恋」 満月凛太郎(著)

私が一番印象に残っているのは主人公の「この花は自分が枯れることを知っている」です。いつかは枯れて萎んでしまう、それでも咲き続けることを自ら選んだという解釈をしました。人間も老いて朽ちていく運命を背負っています。だからそれに続く恋人の「ただ今だけを見れたらいいのに」が重く感じます。


「今日はサプライズ!」 日野歌子(著)

家族、友人、地球上のだれもが怪獣と戦うヒーローである主人公にサプライズを仕掛けるこの作品。「そんなことなくったって、僕はいつも幸せなのに!」主人公の言葉に、本当のサプライズとはいつもの日常それだけだってこと。なんてことのない日々が、特別なものであるとこの本は気づかせてくれました。


「お金の適切な使い方」 遠藤マサル(著)

一、この適切な使い方ができるのはお金に余裕のある人間に限ること。お金の余裕は精神の余裕に繋がります。二、適切な使い方の用途に僕の望むことはありませんでした。結局僕はこの本を読むことによって大切な時間を失いました。図書館で借りてよかったです。時間の次に大切なお金を失うところでした。


「良い人の村」 雪村正次(著)

親友四人組が卒業旅行で日本縦断中に立ち寄った「十草村」。住人は皆やさしく主人公たちをもてなす。実は村ではとある儀式の期間中で、村の特別な人たちしか入れない場所が多い。親友の一人はその儀式が気になって一人そこに向かって……。ホラーとミステリーが混じったとても面白い作品と思いました。


「ポカルトミルナと奇妙な世界」 ジャネット・ワーグマン(著) 泉芳子(訳)

主人公のジャックがベッドの下からやってきた妖精ポカルトミルナといろんな世界を旅する物語。美しい人魚から貰った鱗のペンダントを渡しながら、ポカルトミルナは「いつかまた、君の所に行くから。待ってて」と言いました。ジャックも、そして私も、ベッドの下から素敵な妖精が来るのを待つでしょう。


「星繋ぐ街灯」 ライト・F・マッカートニー(著) 北村義明(訳)

宇宙のすべてを照らす夜明けが来るまでの間、彼らは気体や液体、あらゆる種の鉱物の上に立ち続けます。夜明けを信じて、星の上の一つの明かりを途絶えぬよう守り続けます。主人公のベンジャミンはそんな自分の仕事に疑問を感じ、他の星々を巡ります。自分の役割の意味を再確認したい方へおすすめです。


「海より出ずるもの」 槙島ミクロ(著)

海から不吉な物がくる。そう信じられている島では、漁業は行っていない。五年生の時任勝之は人魚に出会う。人魚は何でも教えてくれる。明日のテストの答え、天気、人の死ぬとき。「私はお前に何でも教えてやった。だからお前を連れてゆくぞ」「まだ一つ、教えてほしいことがある」時任少年の疑問とは。


「魚が泣いても誰も知らない」 歌林金次郎(著)

小さな桜貝が大きな泣き虫の魚に恋する話です。「わたし、あなたのまぶたになりたいの。あなたが泣いてるの隠してあげるわ。あなたの可哀想なおめめ、ずっと抱きしめてあげる」辛いときや嬉しいとき、涙を流すのは自然なことです。けれど見られたくない涙を、そっと隠してくれる人がいるのは幸いです。


「冬のための貴方」 佐藤せうゆ(著)

彼の愛しい人は言います。「ねえ貴方、この雪の結晶を見て。こんなに小さなものひとつ、神様は手を抜かず作ってくれる」。彼女の神様の為に彼は黙っています。それは僕が作ったんだよと言ったって、雪片の千や二千作ったって。己の信じるもの、他人の信じるもの。その相違を深く感じさせてくれました。


「友よ」 遠野近道(著)

「俺の声が届かぬ場所へ行ってくれるな。友よ」「ならば私の目の届くところにいろ。友よ」そう、二人は友人です。苦しみを、喜びを、悲しみを、愛しさを、共にしてきた友人。冒頭の台詞から、彼らの輝かしい日々の描写。ページを追うごとに鮮明になるひび割れた友情。彼らが泣く時に、私も泣くのです。


※覚書

https://kakuyomu.jp/users/kiyato/news/16817330654598661083

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