第2話 騎士

最近捜索が過激になってきたのがわかる。


あと一日。明日の午後9時まで生き残ればこちらの勝ちだ。


「やっぱあんた人と話すの苦手っぽいな?」


「なんでわかったのかと聞くわ」


「見た目通りガキンチョだからさ」


「報酬から今の分差し引いておくわ」


銃の整備が終わり、これから死ぬまで使われる事を理解しているのか円滑に動く引き金トリガーと筋肉に馴染むグリップが俺の身体だと示している。


VIPも覚悟ができたようだ。


「………お祈りは?」


「神様に祈った所で何になるのよ?」


「そうか。じゃあ、行くぞ」










バンッ!!


ドアが蹴破られ、銃器を持った屈強な若者達が入ってくる。


「………ん?」


その中で勘の鋭い若者が異変に気付く。


「なんか音がしないか?」


「音?」


「しっ……静かに……」


全員が動きを止め、耳を澄ます。


……………


「………なんも聞こえないじゃないか?」


「いや……もっと研がせろ」


……………カ……


「………?」


……………………………カチッ


「罠だ!?」


ボワアアアァァ……


炎が辺りを取り囲む。


「た、退避!!退避だ!!ゲホッゲホッ!?」


開いていた扉へと逃げて燃え広がる炎を恨めしそうに一目見て扉を青年が閉める。


「クソ!これじゃあ犬が使えない……」


「探せ!周辺に兵士を集めるんだ!!特に人の多い所を探せ」


「は?普通人の少ない所で隠れるのでは?」


「バカ!奴等はここがすぐに見つかる事を理解していたはずだ。今燃えたって事は近くにまだいる筈だ。それなら出来る限りここから離れなければならない。なら、人混みに紛れ込むのが1番だろ」


「ああ……そうか。でも、捕まえるには一般市民が邪魔で「殺せ」……今、なんと?」


「障害物は全て排除しろ。なんとしてでも探し出して殺せ。その場で殺してしまっても構わん」


「そ、それでは市民の反感を……」


「それがなんだ?これは軍としてではない。一つのテロとして起こすんだ。わかったな?」


「わ……わかりました」


「よし。A、B、Cに別けろ。Aは捜索。Bは特殊技能班で構成。Cは情報の整理と指名手配ポスターの制作準備だ」


「ハッ!」


「ネズミを炙り出すにはトラップからだ……私も直々に出ると伝えろ」


「了解しました」


「ダンスパーティーは始まったばかりだぞお嬢さん……」





「はぁ……はぁ……も、もう大丈夫?」


「いや、これからだ。体力を回復しておけ」


何故か今さっきの罠で殺せた気がしない。


司令官が有能であればそれを上回れば良いが、兵士が有能である場合は違う。


後者で無ければ良いが……

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されど傭兵鳴らぬ心臓それは銃である デルタイオン @min-0042

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