海坊主

とある漁村で、相次いで船が沈没する事件が起きた。

「これは海坊主様の祟りじゃて」

 村の老人はそう言った。

「じゃあさあ、陰陽師様に頼んでみない?」

 村のギャルがトゥイッターで活動している「雨月」というアカウントを見せる。

「陰陽師?」


 白夜と雨月、翼が村に到着したのはDMを受け取ってから二日後だった。

「それで海坊主の祟りだと?」

「ええ」

 実際に白夜達が船に乗って、確かめに行くことになった。

「さあ、出て来い」

 そう言うと、30メートルは超えるかという大きくて黒い影が現れた。

 海坊主は手を上げ、船をひっくり返そうするが、白夜の唱えた呪により、船は守られた。

「お主、陰陽師か」

「そうだ」

「何故、わしの邪魔をする?」

「そちらこそ、何故、人間の船を沈没させる?」

「人間共がわしの海を汚したからだ」

 確かに、海には人間の捨てたビニール袋等が流れている。

「原因はこれか……」

「汚い海だよね、これなら怒るのも無理ないかも」

「でも船沈没はやり過ぎじゃない?」

「ねえ、海坊主さん! 僕達、人間にゴミ拾いするように声かけるよ!」

「…………」

「だから、僕と、人間を信じてみてほしいんだ!」

「……分かった」

 この出来事を村の人々に伝え、海の清掃に努めるように訴えた。

 海のパトロールを増やしたり、ゴミ拾い啓発の看板も立てた。

 

 これで、海坊主による被害もなくなったという。



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