家鳴り VS V系バンド

「うるせーーーーーーっ!」

 深夜2時、都内のマンションに住んでいる丹羽 陸(にわ りく)は叫んだ。

 上からは家鳴りのような音、隣からはV系バンドの歌声。

 もう限界だ。

 管理会社に連絡しても改善されない。

 だから怒りをトゥイッターで、ぶちまける。

 するとフォロワーから、それを解決してくれそうなアカウントを紹介された。

「雨月」というその人は、近いうちに家を見に来てくれることになった。



 一週間後。

 雨月という人が仲間を連れてやって来た。

「雨月です。こっちは相棒の翼」

「よろしくです」

「よろしくお願いします」

「じゃあ、早速見てみようか」

 雨月は脚立を管理人から借りてきて、天井をコンコンとする。

 すると、天井側からもコンコンと聞こえてきた。

「いるね」

 雨月が何か唱えると「ぎゃっ」という声が聞こえて、ドタドタという足音がした。

「はい、これで大丈夫です。家鳴りは何処かへ行きました」

「ありがとうございます」

「でもV系バンドの方は、こちらでは何とも……」

「そうですか」


怖いのは妖怪より人間ということか。

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