散歩
私と千早の奇妙な同居生活は続いていた。
千早は早起きで、私より早く目覚めていた。
「千歳、お散歩いこうよ」
「う~ん、散歩?」
「そう」
「何でこんな朝っぱらから」
「いつもそうだったから」
「いつも散歩してるの?」
「うん。散歩は朝だったでしょ」
「それって……」
その後も千早が急かすので、私は渋々散歩に出かけた。
散歩中も千早は、るんるん気分で歩き回っていた。
「車とか気を付けてよ」
「うん!」
自然と手を繋いでいて、千早にグイグイ引っ張られるように進む。
紅葉の道を歩いている千早は、はしゃいでいた。
朝の支度を終え、千早に話しかける。
「大学行って、そのままバイトも行くから、帰りは8時過ぎ。ご飯は冷蔵庫にあるもので適当に食べてね」
「うん。ソーセージとか食べていい?」
「うん、いいよ」
千早はケータイを持っていなかった。
親御さんとかは心配してないのだろうか。
本当に何も持たずに家出をしてきている。
大学の授業中も、千早のことが心配で、講師の話があまり耳に入って来なかった。
「千早、ただいま」
「おかえり、ずっと待ってたんだよ!」
家に帰って、出迎えてくれる者がいるのは良いことだ。
千早に抱きしめられながら、私はそう思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます