かき氷

「暑い……」

 ジリジリと照り付ける日差しが容赦なく襲い掛かる。翼は縁側で寝そべりながら汗をかいていた。

「翼、大丈夫? 良かったらこれどうぞ」

 弥生が持ってきた盆の上には、ガラスの器に盛られた氷菓があった。

「何これ?」

「かき氷っていうのよ。氷を砕いて、その上に甘いシロップをかけて食べるの。冷たくて美味しいものよ。こんな暑い季節にはぴったり」

「へぇ、これ氷なのかぁ」

「シロップどれにする? イチゴとメロンとブルーハワイがあるわ」

「ぶるーはわい?」

 イチゴとメロンは知っていたが、ブルーハワイは初めて聞く単語であった。

「青いシロップなの。ええっと、味の説明が難しいんだけど……。サイダーなのかラムネのか、桃みたいな味のもあるし。会社によって違うのよね」

「なんだかよく分からないけど、とりあえず、その、ぶるーはわいってやつを食べてみるよ」

 翼は銀色のスプーンで氷を一欠けらすくい口に運ぶ。

「~~~~っ、冷たっ」

 翼が兎の姿だったら足先から毛が逆立っていただろう。

「頭がキンキンする~~~、でも、冷たくて美味しい~~~」

「ふふ。やっぱり夏は、かき氷ね」


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