のりか

翼は夢を見ていた。

 前の家に、元の飼い主がいた頃の、夢だった。


「私は、のりか! よろしくね、翼!」


「翼、学校行ってくるね!」


「翼、おやつあげる!」


 七つくらいの小さな女児が、毎日話しかけてくれた。

 それが嬉しかった。



「思い出したんだ! 僕の飼い主の名前! のりか だよ!」

 白夜は、さほど興味がなさそうに「そうか」とだけ言った。

「いつか会いたいな~」

 嬉々としている翼に、白夜は少し冷ややかな目線を送っていた。



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