翼の思い

 その夜、化野邸にて。

 帰宅すると、翼は白夜に言った。

「僕、不思議なんだよね」

「何がだ」

「だってさ、あそこの猫達み~んな猫又になればいいと思う! そしたらずっと一緒にいられるもんね!」

 翼は何も知らずに無邪気な考えを披露する。

「妖は、ならなくてよいなら、ならない方がよいのだ」

「何で?」

「自然に生きて自然に死ぬのが一番よい」

「妖怪になれば人間の言葉も分かるし、長く一緒にいられるじゃん!」

「人間と妖が共に生きていくのは容易いことではない」

「でも……」

 翼はまだ反論したい気持ちがあったが、白夜の言葉には只ならぬ説得力があった。


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