月夜の晩

「白夜様、連絡手段は私の方で仕込んでおきました」

 弥生は猫カフェの従業員とよく話していたが、その際に名刺に擬態させた連絡札を渡したそうだ。それはペットの葬儀屋の名刺で、コマが死んだ時に連絡するように呪をかけてあるものだ。



 月が綺麗な晩であった。

 人間のいない、夜の猫カフェでは宴会が催されていた。

「別れは済んだか」

 和服の男が窓に腰かけていた。

「うにゃ。もういいにゃ」

「せ、先輩……」

「大仏、これからは、おみゃあが皆を引っ張っていくのにゃ」

「うう……」

「おい」

「分かってるにゃ! ……皆、今まで有難うにゃ!」


「これを飲めば、仮死状態になる。その後のことは任せておけ」

 白夜は丸い玉のような薬を、コマに渡した。

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