最近の猫まんま(猫又用)
厨房では弥生が戸棚を開け閉めしながら注文の品を探していた。
「確かまだ残ってたと思うんだけど」
何故、化野邸に猫の餌があるのか。それは猫系の妖怪が少なからず来るからである。一昔前は所謂ねこまんまという、飯の残りに鰹節をかけたもので良かったのだが、最近の猫はグルメで、ひどい時はちゅーるのメーカーを指定してくる奴もいたのだ。
「また猫妖怪?」
厨房に菓子を漁りに来た雨月が呆れたように聞く。
「そう。今回もまた癖の強そうな方がいらっしゃったわ」
「あいつら我がままだからなあ。妙に味にうるさいし」
「まあ今回は何とか大丈夫そうよ。ほら、あった」
弥生は粒あん饅頭を皿の上に置き、かつお味のちゅーるを絞り、簡単な猫や魚の絵を描く。その上に潰したカリカリ(猫用ドライフード)をふりかける。
「完成したけど、これ美味しいのかしら……?」
「さあ?」
「おまたせ致しました」
弥生が適度に冷ました緑茶と猫用饅頭菓子をコマの前に置く。コマは「うむ」と一言頷き、黒文字で饅頭を一口大に切り、ちゅーるをソース代わりにして口に運ぶ。
「うみゃ~」
白夜も茶を啜り、コマを見詰めて言った。
「それで、本題は何だ?」
「うむ。そろそろ死のうと思うてな」
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