奥歯の親不知が斜めに生えてきたお話

 これもね、結構昔のことです。なんというか、衝撃の八重歯事件からは十数年たっています。


 あれは、二十代後半の頃のことです。


 手術や、微熱が出ると、決まって奥歯が痛んでいました。ですが、鏡で見ても、虫歯らしいものは見当たらず。歯茎の一部が白く見えているので、また親不知かもしれない、と思いつつ、だったら勝手に生えてくるでしょ、なんて気楽にかまえていました。


 普段から持病の関係で解熱剤を処方されていたのですが痛みには効かず、じゃあ仕方ないから歯医者に行くぞ、ってなって。


 よーく見てもらった結果。奥歯の奥の歯茎が一部白くなっているのだと。これは私も気づいていたので、なかなか生えてこないんですよ、とお話ししました。ちなみに三年くらいたっています。


 その頃にはすでに、レントゲン機材が揃っていたため、レントゲンで撮影した結果、この奥歯の親不知は、斜めに生えてしまっているため、歯茎を切り裂いて、ほじくり出すしかない、とのこと。しかも、持病のために飲んでいる大量のお薬のせいで、感染症にかかりやすいため、熱が出るたびに痛むことになること、また、歯茎を切り裂くことにより、神経を痛めてしまう可能性もあること、などを説明されました。


 オーマイガー!! です。だから親不知なんて名前をつけられてしまうのだよ、君たち。


 そんなわけで、歯茎を切り裂くための手術をすることになってしまいました。


 当時はまだ若かったので、なんとか耐えられたものの、今の私ではちょーっと体力的に無理かなぁっていう感じで、働き盛りの歯医者さんが、手術開始から三十分ほどで一度その場で座り込み、すっごい溜息を吐くほどの難産だったのです。


 ですが、先生のおかげで無事に終わり、多少のしびれは残ったものの、すぐにおさまりました。


 いやぁ、本当に親不知って嫌な奴なんですよね。


 けど、それ以来、がんばって歯を磨くようになりました。


 一日の終わりは特に念入りに。


 皆様も、歯を大切にしてくださいね。


 おしまい

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八重歯が八重歯を折ってしまったお話 春川晴人 @haru-to

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