年の瀬

津多 時ロウ

年の瀬

 妙に浮かれて騒がしい足音が耳の裏まで迫り、もうすぐ1年が終わる。


 季節の移り変わりをほとんど感じなくなってから、早幾年はやいくとせ


 季節は迎えに行くものだとは、果たして誰の言葉だっただろうか。

 不思議なもので、自ら迎えに行かなければ、やがて季節に愛想をつかされ、訪れてくれなくなるのだ。


 誰も彼もが利便性を求める時代。私もそれは例外ではなく、もうお迎えに行かなくなってから何年も経ち、そっぽを向かれたことにすら気が付かなかった。


 だが、季節を二十四にも分けたこの国の民のこと。

 耳に飛び込んできた重低音の余韻に、ふと季節を思い出す。


 たとえ希薄であろうとも、せめてこのときだけはお迎えしなければと、慌てて明日の予定を確認すれば、まるで夏休みに入ったばかりの子どものような新年が、いつの間にやら炬燵こたつの向かいに現れた。


 なにやら今年は良い年になりそうだ。

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年の瀬 津多 時ロウ @tsuda_jiro

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