第38話


狙撃を中断し、狙撃銃ステータスを弄ることにした。


というのも、2000m先のモンスターを殺傷するには有効射程距離や威力が不足する事態が発生した為である。


まぁそもそも2000m超級の狙撃は、普通であればこんなに簡単に命中するものではない。ポンポン当てて行き、撃破スコアを稼ぐ恵奈がおかしいだけで有る。


それもコレも職業とステータスが織りなす奇跡の様なものだ。


無かったら数十mでも命中しなかったことだろう。


さて。


「有効射程距離をあげようか」


有効射程は、スナイパーポイントを1消費で10m延長するらしい。


2000mは欲しいので20ポイント消費して200mの射程距離を延長する。


それと、射程距離が伸びて弾丸の飛翔到達時間が少々長くなってしまう。発射速度は銃口初速で、飛距離に応じて減速していくのと同時に威力も低下してしまう。なので増速させておく必要がある。


発射速度は、スナイパーポイントを1消費で5m/秒増速する。現状だと中途半端なので5ポイント消費して850mに増速させておく。


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【ステータス】

レベル:34

スナイパーポイント:41 → 16

発射速度:825m/秒+ → 850m/秒+

有効射程:1800m+ → 2000m+

射撃間隔:10+

命中確率:100+

致命傷率:100+

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「こんな感じかな?」


調整を終えたので再度、狙撃を再開してみる。


「丁度良い獲物発見!」


ここのモンスターはセミやトンボだけではなく、バッタやカタツムリなどの上階層で出現したモンスター。その他にもダンゴムシやカナブンも存在する。


狙いを定めたのはカナブン。


今は木によじ登って上へと向かい———


「あっ!」


訂正。空を飛んだ。


停止している又は歩く程度の移動速度の目標だったら、当てる事はそう難しいことではない。しかし、目標が空中に存在する場合。上下前後左右と三次元機動で対象が行動するため、弾丸を当てる難易度は途端に高くなる。


しかし、【弾道予測】などのスキルのお陰で位置が予測できる為。


「ここ」


発砲。


そして、命中。


普段は外殻で守っている腹部が、羽を広げて飛翔する関係上大きく解放されていたのが仇となり、弱点部分が露見している場所目掛けて12.7mm通常弾が命中。


弾丸としての威力が高いので、カナブンは柔らかい腹部から爆散。地上へと体組織の残骸を降らせつつ粒子に変わることとなった。


「やりぃ〜!」

「凄いじゃん!」


空中目標に対する2000m級狙撃の成功例はないのではないだろうか。


この調子なら、遠距離からの狙撃は問題ない事が確認できた。


「ねぇねぇ恵奈ちゃん」

「うんどうしたの?」


狙撃を中断し、琴音に向き直る。


「ちょっと相談なんだけどさ。恵奈ちゃんはこの階層で狙撃を続けてるわけだけどその間、琴音は暇なんだよ。だから一人で5階層のソロ攻略行っても良いかな?琴音も装備が欲しいんだよね〜」

「良いよ!今の琴音ちゃんなら問題ないだろうし、扉を開いたままにするから遠慮なく行ってきな〜」


と、【共有空間】の扉を開く。


「ありがと。行ってきます!」

「いってら〜」


琴音は階段を駆けて10階層へと向かっていった。


何故に恵奈が開いた【共有空間】から向かわなかったのかというと、琴音が開く出口は自宅に設定されているため、5階層までは自力で戻らなければならないためだ。


そして開いた理由だが、ボス攻略後の5階層で新たに扉を開く琴音が、接続された島を伝って11階層へと向かうようにする帰り道である。


開かれていなければ島で立ち往生してしまいかねない。


「さぁて。琴音ちゃんが帰ってくるまで狙撃の続きと行きましょうか!」


狙撃を再開する。



*****



バシュッ!


バシュッ!


バシュッ!


「・・・もう何体倒したかわかんないや」


隣に積み上がるドロップアイテムの山。これに価値が付いたら一体いくらになるのやら。しかし、今の恵奈からすれば価値よりも片付けの方が気になっている。


もちろん、面倒な方ということで。


「通常弾の追加分もそろそろ切れるし、一旦休憩にしますかね」


【高速魔力回復】の影響で、魔力自体に不足はないが如何せんお腹が空く。周辺にモンスターの気配もない。心置きなく休息を取る事ができる。


と、DSMR-01から手を離した恵奈が、バックからカロメとティーカップを取り出し、【生活魔法】で準備を整えると。


一服。


「うまいわ〜」


しかし。


「・・・でも、琴音ちゃんがいないから今ひとつだね」


恵奈にとっての琴音の存在は大きい。最近はずっと一緒にいる事が多かったので、いない事で寂寥感をより強く感じてしまっている。


こんなちょっとの時間で寂しいって思っちゃう私は、琴音ちゃんに相当依存してるんだなぁと改めて自覚するよ。


「あぁ〜琴音ちゃん成分補給したい!」

「———何言ってんの・・・」

「琴音ちゃん!」


だきっ


「お帰りなさい!待ってたよ!」

「ただいま恵奈ちゃん!」


ああ、琴音ちゃんの匂いに包まれ・・・ない?何故?


と思ったと所で気づく。きている服が今までの系統と違うことに。聖職者風ローブの中に、恵奈とは真逆な甘ロリ衣装を身に纏っていることに。


「ドロップしたんだ。おめでとう琴音ちゃん!」


そう。それは5階層のボスからのドロップアイテムだった。







突然ですが、稿この話で終了となります。

理由といたしましては、ストックが切れたことが主な要因になります。

これからも完結するまで書き続ける所存ですが、投稿頻度は低下します。

毎日投稿と歌っていた作品紹介文の一文を削除します。

申し訳ありませんが、ご了承ください。


これからも職業狙撃手をよろしくお願いいたします!


K2(けにー)

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———貴女の職業は”狙撃手”です——— K2(けにー) @akixyu-to

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